【鮮度保持効果】生花店がオゾン水を使う理由とオゾン水の効率性について

殺菌、除菌効果が高いオゾン水は農業シーンで広く活用されています。
特に、ITやAIを活用したスマート農業分野においては、近年のオゾン水活用の普及スピードには本当に驚くばかりですが、オゾン水が活用されているのは農業分野だけではありません。
より私たちの身近なところでいえば、オゾン水は生花店でも活用されています。
オゾン水には花や植物の鮮度保持効果や種子の発芽率アップ効果、農薬代わりに散布することで病気の発生を抑える効果などがあります。
本記事では、オゾン水が生花店で花や植物の育成や管理に使用されている理由などをわかりやすくお伝えします。

オゾンは3つの酸素原子から成り立っている物質で、消臭・除菌作用に優れています。
そしてオゾン水は、オゾンガスが水に溶け込んだものです。
しかし、オゾンガスやオゾン水の優れた殺菌消毒作用のため、人体にも害が及ぶのではないかと不安になる方もいらっしゃるでしょう。

まずは、オゾン水の安全性と危険性について解説いたします。

オゾン水の安全性

オゾン水に溶存しているオゾンは、常温中においては時間の経過とともに酸素へ分解していきます。
そのため、オゾン水中のオゾン濃度は徐々に減少していき、酸素濃度が増加します。
長時間、水中にオゾンが残らないので、オゾン水には残留毒性がありません。
例えば作物への農薬散布時は近隣住民への影響が心配ですが、オゾン水を使用するとオゾンが自然と酸素に戻るため、オゾンによる悪影響を気にせず安心して散布できます。

オゾン水

殺菌・除菌効果が非常に高く、農薬のように残留性がないのはオゾン水が活用される理由のひとつです。
言ってみれば「農薬代わり」になるので、薬品・薬剤いらずで確かな殺菌・除菌効果を享受できるため、オゾン水は農業分野の中でもITやAIを活用した「スマート農業」と呼ばれる分野でも普及が進んでいます。
花や植物を管理・育成するうえで、殺菌・除菌することはどのようなことを意味しているのでしょうか。詳しく解説します。

花の鮮度を保持する効果〜オゾン水で花は長持ちする

花や植物をオゾン水で洗浄したり、浸けたりすると、水(水道水など)を使ったときと比較して菌の量を圧倒的に低減することができます。
花や植物に付着した菌(腐敗菌)を殺菌・除菌することによって腐敗や劣化スピードを大幅に遅らせることができます。
これは花や観葉植物に限らず野菜や果物でも同じことが言えます。
結果、花や植物の鮮度を長期間維持することができ、これを「オゾン水の鮮度保持効果」といいます。
鮮度を保持できるということは、生花や観葉植物は長期間きれいで健康な状態を保ち、野菜や果物などは賞味期限を伸ばすことにつながるため、販売機会を増やし、フードロスにもつながるのです。

生花

害虫駆除・病気の予防に役立つ

今付着している菌を殺菌・除菌、駆除することは「対策」といえますが、オゾン水は「予防」にも役立ちます。
オゾン水は清潔な状態を保つため菌が付着しづらく、また菌が増殖することを抑止します。
菌を増やさないこと。これを専門用語で「静菌(せいきん)」といいます。
滅菌とは菌を完全に死滅させることですが、殺菌や除菌は滅菌より程度が軽いです。
ということは殺菌にしても除菌にしても菌を完全に死滅させるわけではなく、減らすだけなので、少なからず菌は残ります。
そして普通ならその残った菌がわずかな時間で爆発的に増えるわけですが、オゾン水はそれを許さず静菌の状態を一定期間維持して菌を増殖させません。
この予防的観点からもオゾン水は生花店に広く普及しているのです。
本記事では、この鮮度保持効果についてお伝えすることがメインですが、せっかくなので、オゾン水のその他の効果やすごさについてもう少しご紹介したいと思います。

発芽

農業において種子の発芽は大きなイベントです。
しかし、種子は100%発芽するわけではなく、温度・水・酸素の3条件によって発芽率は左右されます。
実は、オゾン水には種子の発芽を促進させる効果があります。

種子の周りの雑菌繁殖を抑える

種子の周りにはたくさんの雑菌が繁殖してしまいます。
最悪の場合、ほとんどの種子がカビまみれになってしまうこともあるので、雑菌繁殖の抑制が重要です。
この点オゾン水には高い除菌効果があるため、水の代わりにオゾン水を使用することで雑菌の繁殖を抑制できます。
また、水中に溶け込んだオゾンは徐々に酸素に分解していくため、種子の発芽に必要な酸素の量を十分に維持できます。
つまり、雑菌繁殖の抑制と酸素の補給効果によって種子の発芽率を高められるということです。

種子の殻を軟化させる

オゾンクラックという現象を聞いたことのある人もいらっしゃるでしょう。
バイクや車のタイヤは、オゾンによってひび割れ(オゾンクラック)が生じてしまうことがあります。
車のタイヤと同じ現象が種子にも起こる可能性があります。
種子の表面は硬い殻に覆われており、発芽するためには硬い殻を破らなければなりません。
しかし、オゾン水中のオゾンが種子に対してオゾンクラックを行い、硬い種子が柔らかくなることで発芽が促進されると考えられます。

ネギの水耕栽培

ネギの水耕栽培では夏の高温期における根腐症状が問題となっていました。
そこで、培養液中にオゾン水を流すことでオゾン水の殺菌効果による菌密度の抑制がみられました。
しかし、オゾン水を連続して流すとネギの伸長まで抑制されてしまいました。
そこで、ネギの伸長抑制緩和のためオゾン水を連続ではなく間断処理することで、菌密度の抑制は維持しつつ、根の伸長抑制の軽減効果が得られました。

トマトのロックウール栽培

オゾン水はロックウール栽培の養液殺菌にも有効です。ロックウール栽培とは土壌の代わりにロックウールポットを使用した栽培方法で、世界中で将来性が期待されている栽培法です。病気の発生が少なく連作も可能であるという利点がありますが、養液の循環を行うためには養液の殺菌が必要です。三重県農業研究所におけるオゾン水による養液殺菌では、トマト根腐萎凋病菌や青枯病菌の殺菌効果が得られています。

オゾン水で野菜を洗う様子

今回は、生花店における花や観葉植物の管理・育成とオゾン水の活用についてご紹介しました。
また、生花店だけではなく、農業分野におけるオゾン水の活用方法にも少し触れましたが、今後、生花店や農業分野においてオゾン水の活用は今よりもっと普及していくことと予想されています。
オゾン水のオゾンは時間経過と共に酸素に分解されるので、人体に悪影響を及ぼしません。
そのため、人が口にする野菜や果物を栽培する農業分野においても安心して使用できます。
そして、種子の発芽を行う際もオゾン水中のオゾンが酸素を提供し、菌の抑制効果も発揮するため、種子の発芽率は上昇します。
さらに、オゾン水の高い殺菌消毒作用を利用して農薬代わりにも散布できることは、これからの農業を大きく変えていくでしょう。
※散布するだけではなく浸けたりしても同様に効果があります。

近年広まりつつあるスマート農業では、トラクターの自動運転により作業者が監視するだけで整地作業が行えます。
また、農薬の散布もドローンを操縦することで楽に行え、農作物の収穫もAIを搭載したロボットの活用によって自動収穫が可能です。
どんどん効率化されていく農業分野においてもオゾン水の普及は進んでいます。
つまりこれはオゾン水が効率的なツールであることを意味しているのです。
生花店における花や観葉植物の取り扱い、あるいは近未来農業では、さらなるオゾン水の利用・普及によって、花や観葉植物はきれいな状態で、野菜や果物は安全な状態で消費者の手元に届けられるようになるでしょう。
そしてその技術を使う人が増えれば増えるほど導入コストは下がっていくため、これからもっともっとオゾン水が普及していくことを願っています。
生花や観葉植物の鮮度保持について、効果的な方法をお探しの方はオゾン水の利用を是非ご検討ください。
また、本記事の説明不足で分かりづらい点や確認したい点などありましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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