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「清掃業界」の「コロナ退治」というビジネスチャンスの光と影

新型コロナウイルス問題(以下、コロナ禍)で政府は2020年6月19日、都道府県境をまたぐ移動を解禁しました。コロナ禍への警戒は少しずつ緩んできてはいますが、6月21日の新規の国内感染者は65人と、コロナ禍が終わったわけではありません(*1、2)。

ビジネスパーソンや企業は、アフター・コロナの社会で新型コロナウイルスと共存していくために、数少ないビジネスチャンスをつかんでいかなければなりません。
そして今「清掃業界」に光が当たっています。新型コロナウイルスを殺菌する「コロナ退治」ビジネスが活況を呈しているからです。
その一方で清掃業界では、正しい殺菌技術を持たないまま参入した業者が問題になっています。

コロナ退治ビジネスの光と影を追いながら、「正しい殺菌」を考えてみます。

*1:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60537610Z10C20A6AM1000/
*2:https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/coronavirus-world-map/

コロナ・ビジネスとコロナ・ソリューションについて

「清掃業界」の「コロナ退治」というビジネスチャンスの光と影

コロナ禍はまだ収束していません。コロナ禍によって多くの人が亡くなり、肺炎に苦しんでいる人も依然として多くいます。
そのなかで「コロナ禍にはビジネスチャンスがある」という話をすると、不謹慎に感じるかもしれません。

しかし、コロナ禍対策において、ウイルス退治の次に重要なのは経済の立て直しです。コロナ禍前の元気なビジネスを取り戻すことは「是」であり「正」といえます。
企業がコロナ・ソリューションを提供して利益をあげることは、コロナ禍の動乱に乗じて一儲けする行為とはまったく異なります。

しかも、今、清掃業界が取り組んでいる「新型コロナウイルス退治ビジネス」は、さまざまな業界の役に立っています。
ある会社で感染者が発生しても、正しく殺菌すれば、その事務所をすぐに使うことができます。感染者と接触していない社員が、その事務所を使って事業を継続できるわけです。
清掃業者がコロナ退治でビジネスチャンスをつかむことは、社会貢献に寄与するといえます。

殺菌技術がない業者の参入を懸念する声

殺菌技術がない業者の参入を懸念する声

清掃業者などの4社が2020年5月に、全国施設店舗衛生管理協会(本部・渋谷区)という一般社団法人を設立しました(*3、4)。同協会は、新型コロナウイルスの衛生作業(コロナ退治)の業界標準をつくろうとしています。

同協会によると、清掃業者には今、事務所や飲食店や施設などから、殺菌の依頼が殺到しています。その結果、その需要を当て込んで、異業種から清掃業界に新規参入するケースが増えています。
しかし新規参入組のなかには、正しい知識と正しい技術を持っていない業者も含まれているといいます。

*3:https://www.j-fha.jp/#3
*4:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000059050.html

独自にガイドラインをつくり、消毒済み証明書を発行

そこで全国施設店舗衛生管理協会は、独自に「新型コロナウイルス対策のガイドライン」を作成しました。ガイドラインに沿って殺菌された事務所や飲食店などに「ウイルス消毒実施店」と書かれた「協会認定ステッカー」と、証明書を発行することにしました。
これにより、適切な殺菌を終えた企業や飲食店は、自社の顧客に「正しく殺菌された場所でビジネスをしている」ことをアピールできるわけです。

「ウイルス消毒実施店」と書かれた協会認定ステッカー

「ウイルス消毒実施店」と書かれた協会認定ステッカー

同協会は、この「新型コロナウイルス対策のガイドライン」は、厚生労働省と世界保健機関(WHO)が提唱している内容を盛り込んでいる、としています。

同協会は、新規会員になる清掃業者を募っていて、正しいコロナ退治方法を指導して清掃業界を健全化させていく、としています。

北海道でも「このままでは清掃業界が崩壊しかねない」の声

北海道でも「このままでは清掃業界が崩壊しかねない」の声

全国施設店舗衛生管理協会と似た動きは、北海道でも始まっています。北海道室蘭市の清掃業者、株式会社アイムユーは、同業者と共同企業体(ジョイントベンチャー、JV)を組織しました(*5、6)。
JVは、複数の企業が共同で事業を行うときにつくる組織です。

アイムユーも、JVをつくった目的を「適切な殺菌手順を普及させるため」と説明しています。
そして、適切な殺菌の手順が普及しないと、清掃業界が崩壊しかねないという危機感を持っています。

アイムユーは、孤独死をした人が住んでいた住居を清掃する「特殊清掃」も行なっているので、ウイルスの恐さを熟知しています。例えば、ウイルス感染が原因で孤独死した部屋を清掃するとき、そこにはまだ生きているウイルスが潜んでいるかもしれません。それでアイムユーの作業員は、特殊清掃をするときは防護服、ゴーグル、防毒マスクを着用します。

新型コロナウイルスの感染者を出した企業の事務所や飲食店などを殺菌するときも、同じリスクがあります。物体の表面に付着した新型コロナウイルスは、24~72時間は死滅しないからです(*7)。

知識も技術も経験もない新規参入業者の作業員が、殺菌中に新型コロナウイルスに感染する事態が起きれば、清掃業界全体の信頼が揺らぎます。
また、コロナ退治をする清掃業者では働きたくないという人が続出すれば、殺菌作業が遅れてしまいます。
清掃業界は、「こうすれば安心かつ確実にコロナ退治ができる」という方法を世間に示さなければなりません。

*5:https://www.imyou4123.com/%E4%BC%9A%E7%A4%BE%E6%A1%88%E5%86%85/
*6:http://www.hokkaido-nl.jp/article/17167
*7:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html

どのような殺菌方法が「NG」なのか

どのような殺菌方法が「NG」なのか

では、コロナ退治の実績を持つ清掃業者は、どのような殺菌方法が、プロの仕事として「NG」であると考えているのでしょうか。

感染者712人、死者13人という惨事を引き起こしたダイヤモンド・プリンセス号の除染作業を担当し、作業員から1人の感染者も出さなかった一般社団法人日本特殊清掃隊(本部・東京都青梅市)の見解が参考になります(*8、9、10、11)。

*8:https://www.tokusyuseisoutai.jp/service/covid19.html
*9:https://www.tokusyuseisoutai.jp/about/
*10:https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/2484-idsc/9597-covid19-19.html
*11:https://diamond.jp/articles/-/236274

「ゴシゴシ拭き」はNG、「一方向拭き」が正しい

「ゴシゴシ拭き」はNG、「一方向拭き」が正しい

日本特殊清掃隊がNGを出している作業方法は、消毒液を含ませたウエス(布)で机や椅子などを拭くときに「ゴシゴシ」やることです。
「ゴシゴシ拭き」は、しつこい汚れを取り除くときのやり方です。ウイルスは対象物にそれほどしっかりと付着しているわけではないので、ゴシゴシ拭きをするとウイルスが飛び散って室内中に拡散させてしまいます。

日本特殊清掃隊は、ウエスを使うときは、対象物を「一方向で拭く」ようにしています。
例えば、机の天板を拭くときは、ウエスを天板の右端に接触させて、右から左に1回拭き取ります。そして2回目に拭き取るときは、ウエスを一度天板から離して右に持っていき、再び右から左に移動させて拭き取ります。
「右から左に拭き取る」と決めたら、「左から右に拭き取る」ことはしません。
一方向拭きをすることで、対象物に付着しているウイルスを飛ばさないようにできます。

部屋を複数人で殺菌するときバラバラに始めるのはNG、一列になるのが正しい

複数の作業員で広い部屋を殺菌するとき、それぞれの作業員が好きな場所から作業を始めるのはNGです。
正しい方法は、作業員たちが一列になって、例えば南の壁から北の壁に向かっていく作業です。

イメージ図で解説しましょう。
部屋に机が12個置かれてあり、作業員A、B、Cが同時に作業をするとします。
作業員AはA1→A2→A3→A4の順番に机を拭いていきます。作業員BはB1→B2→B3→B4の順に、作業員CはC1→C2→C3→C4の順に机を拭いています。

下記の順番はNGです。

NG例
清掃NG例1

これでは、例えば作業員AがA3の机を拭いているときに、そこに付着しているウイルスが、すでに拭き終わったB1やC2に飛んでしまうかもしれません。

正しい作業例は次のとおりです。

正しい例
清掃の正しい例

作業員A、B、Cが左端に一列に並び、まずA1、B1、C1の机を拭きます。全員が拭き終わったら、同時にA2、B2、C2の机の殺菌に取り掛かります。
こうすることで、仮にウイルスが飛んでしまっても、右端に追い込むことができ、A4、B4、C4の机を拭き終えれば、飛んだウイルスも殺菌できます。

消毒液を噴霧するのはNG、拭き取りが正しい

消毒液を噴霧するのはNG、拭き取りが正しい

厚生労働省は、新型コロナウイルスの殺菌の消毒液として、アルコール(エタノール)と次亜塩素酸ナトリウムを推奨しています(*12)が、これを霧状にして部屋中に噴霧する方法は正しいとはいえません。

確かに噴霧すれば、消毒液が広範囲に散らばり、一気に殺菌が進む「ような気」がするでしょう。さらに、噴霧装置を使えば作業はかなり「楽」になります。

しかし、ウイルスがよく付着するのは、感染者が触った場所です。
そのため、人が頻繁に触るドアノブ、パソコン、マウス、椅子の背などをピンポイントで殺菌する必要があります。それには、ウエスに消毒液を染み込ませて、ドアノブやパソコンなどを丁寧に拭き取るしかありません。
これはとても「面倒」な作業ですが、日本特殊清掃隊はもちろんのこと、コロナ退治のプロである清掃業者は、必ず拭き取りをしています。
厚生労働省も、消毒液を染み込ませたウエスなどでの拭き取り(清拭)を推奨しています(*13)。

さらに、次亜塩素酸ナトリウムを噴霧させると、作業員がそれを吸い込んでしまうかもしれません。次亜塩素酸ナトリウムを吸い込むと健康を害することがあります(*14)。

また、次亜塩素酸ナトリウムが金属に触れて放置すると、錆びや変色の原因になります(*15)。噴霧してしまうと、どこに次亜塩素酸ナトリウムが付着したのかわかりません。
しかし手を使った拭き取り作業ならば、次亜塩素酸ナトリウムで金属を殺菌したあとに、水拭きすることができます。

日本特殊清掃隊では、床を殺菌するときに特殊な機械を使っています。掃除機のような形をしているのですが、ホースの「先」から消毒液が出てきます。そしてその「先」は、噴き出した消毒液をすぐに吸い取ります。
つまり、「先」から噴出した消毒液が床に触れて殺菌したら、すぐに消毒液を回収できるわけです。これでしっかり殺菌しながら、消毒液が床に残ることはありません。

アルコールは引火する可能性があるので、噴霧は絶対NGです。

*12:https://www.mhlw.go.jp/content/000617981.pdf
*13:https://www.mhlw.go.jp/content/000605422.pdf
*14:http://www.zenhokyo.gr.jp/influenza/q_a.pdf
*15:https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000201596.pdf

保健所に確認しないのはNG

保健所に確認しないのはNG

厚生労働省は、施設などで感染者が出た場合、保健所に消毒・清掃の指示を仰ぐよう指導しています(*13)。
日本特殊清掃隊でも、感染者が出た事務所や飲食店を殺菌するときは、まずは保健所の指示にしたがいます。保健所は感染の様子や現場の状況をみて、殺菌する場所としなくてよい場所を指示します。
感染者の机の周辺だけを殺菌すればよい場合もありますし、事務所全体を殺菌しなければならないこともあります。
保健所に確認せず、清掃業者だけの判断で殺菌場所を決めるのはNGです。

<こちらで全国の保健所を検索できます>
国立感染症研究所 感染症情報センター 保健所一覧国立感染症研究所 感染症情報センター 保健所一覧

一朝一夕にはつくることができないノウハウ

一朝一夕にはつくることができないノウハウ

ここまで、新型コロナウイルスに真正面から向き合っている清掃業者のノウハウを紹介しました。

一般的な清掃であれば、その結果は、きれいになったか否かで判断できるので、誰でも評価できます。一般的な清掃業務はごまかしがきかないシビアなビジネスなので、異業種から参入が急増することはありません。

しかし、コロナ退治の清掃では、新型コロナウイルスは目に見えないため、依頼者は確実に殺菌されたかどうかを確認することができません。
そのため、殺菌を依頼する側に知識がないと、レベルが低い清掃業者に発注してしまい、次亜塩素酸ナトリウムを部屋中に噴霧されて終わりになってしまうかもしれません。

自分の事務所や自分の店を守るには、清掃業者に、どのように作業を進めるのか、どのような清掃機具を使うのかなどを確認する必要があります。
そして「オゾンを使うかどうか」も、確認することをおすすめします。

コロナに強い清掃業者はすでに「オゾン」を使っている

パンサーJの特徴

画像:「黄色いオゾン発生器」知られるパンサーJ

「オゾンを使っているかどうか」は、コロナ退治の清掃業者を選ぶときの基準になります。
その理由は次のとおりです。

●コロナ退治に真正面から向き合っている清掃業者は、当たり前のようにオゾンを使っている
●オゾンの新型コロナウイルスへの殺菌効果が実証されている

いずれも重要な内容なので、1つずつ確認していきます。

「オゾン燻蒸」が作業工程に含まれている

「オゾン燻蒸」が作業工程に含まれている

出典:株式会社 I’M YOU(アイムユー)ホームページから

先ほど紹介した室蘭市の清掃業者「アイムユー」は、コロナ退治のときにオゾンを使っています(*16)。
アイムユーは、社員に感染者が出た1,296平方メートルの事務所を清掃したとき、次のような作業を行いました。

  1. オゾン燻蒸(予備)
  2. 次亜塩素酸ナトリウムなどでの吹き上げ
  3. オゾン燻蒸(本番)
  4. バイオエアー

4つの工程のうち、2回もオゾンを使っています。「燻蒸(くんじょう)」は「いぶす、むす」という意味で、オゾン燻蒸とは清掃する空間にオゾンを充満させる作業のことです。
オゾンは気体なので、部屋に充満させれば隅々まで殺菌できます。

バイオエアーとは、殺菌の過程で新型コロナウイルスと一緒に殺してしまった善玉菌を補充する作業です。

また、日本特殊清掃隊も、オゾン燻蒸をオゾン退治作業になかに取り入れています(*17)。

清掃業者のなかには、コロナ禍前からオゾンを使っていたところもあります。

*16:https://www.imyou4123.com/%E6%96%B0%E5%9E%8B%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%8A-%E6%B6%88%E6%AF%92%E6%96%BD%E5%B7%A5%E4%BA%8B%E4%BE%8B/#cc-m-11753120797
*17:https://www.tokusyuseisoutai.jp/service/covid19.html

オゾンの新型コロナウイルスへの効果が実証された

オゾンの新型コロナウイルスへの効果が実証された

オゾン(O3)は、酸素(O2)と同じように、酸素原子(O)だけで構成された気体です。
オゾンは、ウイルスや細菌を殺菌する酸化作用を持つことから、病院や介護施設、食関連の工場、浄水場などで使われています。

オゾンは以前から、インフルエンザウイルスや大腸菌、ノロウイルスなどへの殺菌効果が実証されていました。
そして2020年5月、奈良県立医科大などが、オゾンが新型コロナウイルスを不活化させることを実験で証明しました(*18)。不活化とは、ウイルスが死滅することです。
このニュースを受け、急遽、オゾン発生装置100台を購入した病院もあります(*19)。

最早、コロナ退治のための清掃作業でオゾンを使わない理由はないでしょう。

*18:http://www.naramed-u.ac.jp/university/kenkyu-sangakukan/oshirase/r2nendo/documents/houdousiryou.pdf
*19:https://ainomiyako.net/2020/05/29/20200529_n1/

まとめ~新規業者には「徹底した準備」を期待したい

既存の清掃業者のなかには、異業種からオゾン退治ビジネスに参入する会社を批判的にみる向きもありますが、ニーズが高い以上、新規参入を止めることはできないでしょう。
また、新規参入者が画期的な技術を導入することも珍しくないので、消費者としてはむしろ歓迎できます。

ただ新規にオゾン退治ビジネスに取り組むのであれば、少なくとも既存の清掃業者が行っていることは真似していただきたいものです。
消毒液を含ませたウエスで机や椅子などを拭き取る、厚生労働省の指導を守る、保健所と連携する、そして、オゾンを積極的に活用する――このような地道な作業と必要な投資をしなければ新型コロナウイルスを退治することはできません。

オゾン退治を発注する企業や飲食店なども、清掃業者を選ぶときは料金だけでなく、技術もしっかり確認しましょう。

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