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論文「オゾン水の歯周病原細菌に対する殺菌効果および細胞傷害性に関する研究」を超平易に解説

オゾンに関する学術論文「オゾン水の歯周病原細菌に対する殺菌効果および細胞傷害性に関する研究(https://www.jstage.jst.go.jp/article/perio1968/44/1/44_1_46/_pdf)」を超平易に解説します。

今回は神奈川歯科大学歯周病学講座の辻上弘さんが2002年に発表した「オゾン水の歯周病原細菌に対する殺菌効果および細胞傷害性に関する研究」を紹介します。
辻上さんは2019年9月現在、神奈川歯科大学の講師の職にあります。

記事の最後にこの文献へリンクしていますので、是非ご覧下さい。

超ざっくりいうと

論文「オゾン水の歯周病原細 菌に対する殺菌効果および細胞傷 害性に関する研究」を超平易に解説

この論文を超ざっくり解説すると、「オゾンを溶かしたオゾン水は、歯の重大な病気である歯周病の治療に効果を発揮するであろう、ということがわかった」となります。
最終的には歯が抜け落ちるところまで悪化する歯周病は、歯周病原細菌などが引き起こします。今回の研究で、オゾン水が歯周病原細菌などをしっかり破壊することがわかりました。

ただ「オゾンが歯周病治療によいことは、すでに知っている」という方もいると思います。オゾン治療を行っている歯科クリニックは、全国にたくさんあります。
しかしこの論文が書かれたのは、今(2019年)から20年も前です。この論文で紹介されている研究などが実を結び、今日の歯科治療があるわけです。

もう少し具体的に紹介すると

もう少し具体的に紹介すると

それでは論文の内容をもう少し具体的に紹介します。

2002年ごろはまだ歯周病治療に使われていなかった

2002年ごろはまだ歯周病治療に使われていなかった

この論文の意義は、オゾンを歯周病治療に使う機運が高まっていなかった2002年ごろに、それに挑戦しているところにあります。
ただ2002年ごろすでにオゾンは、血管の病気や潰瘍による傷の消毒や、ウイルスの感染防止対策に使われていました。
そこで辻上さんは、「歯周病治療にもオゾンが有効なはずだ」と考えて、今回の研究に取り組んだわけです。

歯周病のメカニズム

この研究の成果をより深く理解するには、歯周病のメカニズムを理解する必要があります。
そこで論文では触れられていないのですが、歯周病のメカニズムを簡単に解説します。

虫歯をつくる虫歯菌はネバネバした物質をつくります。ネバネバ物質は歯にこびりつき、それが歯周病原細菌の巣になります。歯周病原細菌は巣のなかで増殖し、これがプラーク(歯垢)になります。プラークはやがて「カチカチの」歯石に変わります。
つまり虫歯菌は、歯を虫歯にさせるとともに、歯周病原細菌をサポートしているわけです。

プラークや歯石が形成されると、歯周病原細菌は毒素を出し、歯肉(歯茎)を炎症させて腫れさせたり、膿をつくったり、出血させたりします。
さらに悪化すると、歯の周りの骨を溶かし、最終的には歯が抜けます。これが歯周病の「終着駅」です。

勝敗は3勝0敗1引き分け

辻上さんは、「歯周組織由来平面培養細胞」「浮遊細胞」「歯周病原細菌」「歯肉縁下プラーク細菌」の、歯周病に関わる4つの細胞・細菌が、オゾン水によってどのように破壊されるか確認しました。
結果は次のとおりで、3勝0敗1引き分けでした。

<歯周組織由来平面培養細胞の破壊状況>
歯周組織由来平面培養細胞は、神奈川歯科大学付属病院で抜歯した患者の歯から採取しました。もちろん患者の同意は得ています。
その細胞を0.0003%のオゾンが含まれたオゾン水に30秒および60秒さらしたところ、破壊(細胞傷害)はあまり起きませんでした。
つまり、歯周組織由来平面培養細胞に対しては、オゾン水の効果は軽微でした。

<浮遊細胞の破壊状況>
浮遊細胞を0.0001%オゾン水と0.0002%オゾン水、0.0003%オゾン水に30秒さらしたところ、次のような結果になりました。
0.0001%オゾン水:細胞が79%に減少(21%破壊した)
0.0002%オゾン水:細胞が29%に減少(71%破壊した)
0.0003%オゾン水:細胞が12%に減少(82%破壊した)
オゾンが濃いほど浮遊細胞を破壊する効果が高まることがわかりました。

<歯周病原細菌の破壊状況>
ATCC33277株、ATCC25261株、ATCC25580株という3種類の歯周病原細菌の破壊状況を調べました。それぞれの株を、0.0002%オゾン水と0.0004%オゾン水にさらしたところ、次のような結果が得られました。

<0.0002%オゾン水の効果>
ATCC33277株:生存したのは0.40%(99.60%破壊)
ATCC25261株:生存したのは0.07%(99.93%破壊)
ATCC25580株:生存したのは4.73%(95.27%破壊)

<0.0004%オゾン水の効果>
ATCC33277株:生存したのは0.19%(99.81%破壊)
ATCC25261株:生存したのは0.02%(99.98%破壊)
ATCC25580株:生存したのは0.42%(99.58%破壊)

オゾン水の殺菌効果が高く、オゾン濃度が濃いほど効果が高まることがわかりました。

<歯肉縁下プラーク細菌の破壊状況>
歯周病患者の歯周ポケットから歯肉縁下プラーク細菌を採取して、3種類の濃度のオゾン水に30秒さらしたところ、以下の結果になりました。
0.0001%オゾン水:生存したのは22.57%(77.43%破壊)
0.0002%オゾン水:生存したのは10.86%(89.14%破壊)
0.0003%オゾン水:生存したのは3.06%(96.94%破壊)

こちらも、オゾン水の殺菌効果が高く、オゾン濃度が濃いほど効果が高まることがわかりました。

まとめ~著者の「予言」とおりになった?

著者の辻上さんは、「口腔内においてもオゾンによる殺菌効果が期待され、歯周組織由来細胞は細胞外基質により保護されるものと考えられる。これらのことから、今後の歯周治療 におけるオゾン水の有用性が示唆される」と論文を結んでいます。
現在の歯科クリニックでのオゾン治療の広がりを考えると、約20年前の辻上さんのこの「予言」は当たったといってよいでしょう。

論文の全文は以下のURLで読むことができます。

資料名オゾン水の歯周病原細菌に対する殺菌効果および細胞傷害性に関する研究
著者辻上 弘
神奈川歯科大学歯周病学講座
リンクhttps://www.jstage.jst.go.jp/article/perio1968/44/1/44_1_46/_pdf

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