オゾンプラス

日本最大級のオゾン専門ポータルサイト|オゾンプラス

「奇妙な成功」を収めた日本は第3波にも勝てるのか【コロナ禍の今】

新型コロナウイルス感染拡大問題(以下、コロナ禍)の「今」を確認します。
この記事での「今」は、緊急事態宣言が全国で解除された2020年5月25日です。

政府による緊急事態宣言は、2020年5月21日に42府県で解除され、残りの5都道県(東京、北海道、埼玉、千葉、神奈川)も25日に解除されました(*1)。
5月24日の国内の感染者数は16,550人で前日より14人増、死者数は820人で前日より12人増です(*2)。
1カ月前の4月24日は、感染者数の前日比は469人増、死者数の前日比は30人増でしたので、コロナ禍は終息に向かいつつあると感じる人がいてもおかしくありません。

首相も次のように述べています(*1、3)。

  • 世界的にみても極めて厳しいレベルの解除基準を全国的にクリアした
  • 我が国の新規感染者数は減少を続けている
  • 医療のひっ迫状況も改善傾向がみられる
  • 感染防止策を講じながら、社会経済活動を段階的に引き上げる

「明るい言葉」が並んでいます。
しかし「今」はまだ、喜べる状況にはありません。それは「今」はまだ、コロナ禍の「第2波」の途上にあり、「第3波」のリスクが消えていないからです。
緊急事態宣言が再び出る可能性も残っています(*1)。

この記事では「今」わかっている、1)対策のこと、2)ウイルスのこと、3)医療のこと、4)コロナとの共存、5)新しい生活様式、6)災いから生まれた成果(オゾンの活用の拡大)について、出どころが確かな情報だけを集めて、生活者が知っておくべき事柄を紹介します。
「今」の足元の状況を把握してから、次の行動を考えるようにしましょう。

*1:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59521650V20C20A5000000/
*2:https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/coronavirus-world-map/
*3:http://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/202005/21corona.html

対策のこと

対策のこと

なぜ「今」はまだ喜べないのかというと、仮に第1波の封じ込めに成功したとしても、なぜ成功したのかがわかっていないからです。

5月21日放送のテレビ東京「ワールドビジネスサテライト」が、日本のコロナ禍対策が、海外で「奇妙な成功を収めている」と報じられていると紹介しました(*4)。
日本は死亡率を低く抑えることができた国の1つではあるが、なぜ成功したのかわからないと、海外ではみられているのです。
日本のウイルス封じ込めがラッキーでしかなかったら、次に大流行が起きたときに対応できるのか不安です。

*4:https://www.tv-tokyo.co.jp/mv/wbs/newsl/post_202726/

日本在住のアメリカ人ジャーナリストは不思議に思っている

日本在住のアメリカ人ジャーナリストは不思議に思っている

5月21日のワールドビジネスサテライトに、アメリカのフォーリン・ポリシー誌の、日本在住のジャーナリスト、ウィリアム・スポサイト氏が出演しました。
スポサイト氏は、5月14日に「Japan’s Halfhearted Coronavirus Measures Are Working Anyway」という記事を発表しました(*5、6)。
これは「とにかく、日本の中途半端なコロナ禍対策が機能している」という意味で、揶揄しているようにも聞こえます。

スポサイト氏はワールドビジネスサテライトの取材に対し、「日本のコロナ禍対策は、ことごとく見当違いに見えるが、結果的に世界で最も死亡率を低く抑えた国の1つであり、対応は奇妙にもうまくいった」と講評しました(*4)。

スポサイト氏が、見当違いに感じたのは、日本政府の規制の弱さです。スポサイト氏は、日本政府の制限をかけるペースは、アメリカ政府のそれより「ゆっくり」だったとみています。

欧米では、外出を禁止するなど、生活者の権利(私権)を広範囲に制限して、都市封鎖を行いました(*7)。フランスでは、買い物のなど以外で外出すると、約16,000円の罰金が科されていました。イギリスの罰金は約4,000円です。アメリカでは、企業や会社員に出勤禁止が命令され、違反した企業に罰金を科していました。
日本はここまでの私権の制限はしていません。

スポサイト氏は、日本が第1波の封じ込めに成功したのは、よい政策のおかげだったのか、単なるラッキーだったのか、社会的習慣の違いなのかわからない、と話しています。

5月21日のワールドビジネスサテライトには、やはりアメリカの新聞社、ウォールストリートジャーナルの東京支局長、ピーター・ランダース氏も出演しました。
ランダース氏も、アメリカ人の目で日本のなかで日本を見てきて、日本政府のコロナ禍対策には「不備があった」「まずい対応だった」と感じています。ランダース氏は、いまだに、日本の対応から、何を教訓として学んだらよいのかわからない、と言いました。

*5:https://foreignpolicy.com/2020/05/14/japan-coronavirus-pandemic-lockdown-testing/
*6:https://www.chunichi.co.jp/s/article/2020051501001924.html
*7:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57774880X00C20A4EA1000/

エビデンスがない恐さ

インフル対策がコロナ対策になるエビデンス

医療ではエビデンス(根拠、証拠)が重視されます。仮に、ある治療法である病気を治すことができても、エビデンスを示すことができなければ、次に同じ治療法で同じ病気を治すことができるのかどうかわかりません。

コロナ禍でも、日本がいくらよい結果を出そうとも、その対策のエビデンスがない以上、警戒を解くことはできません。

ウイルスのこと

ウイルスのこと

続いて、新型コロナウイルスについて「今」わかっていることを紹介します。

「今」は第2波

「今」は第2波

2020年5月25日現在の日本の「今」は、コロナ禍のどの段階にあるのでしょうか。
マスコミは5月下旬の報道で「第2波に見舞われた」(朝日新聞)といったり、「秋に猛毒化? コロナ第2波」(東洋経済)といったりしています(*8、9)。これでは「今」が第1波なのか、第2波なのかわかりません。

公式見解では、「今」は第2波にあります。日本の国立感染症研究所は「波」を次のように数えています(*10、11)。

<第1波>
第1波は中国湖北省武漢で発生したコロナ禍で、すでに終息している。
日本では2月に、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」で集団感染が発生したが、このウイルスは第1波のものだった。

<第2波>
日本に第2波が到来した時期は、3月中旬とみられる。渡航自粛が始まる前に、海外から日本に帰国した人が、欧米の第2波を日本に広めてしまった。
日本の第2波の特徴は、感染経路が不明、海外への渡航歴がない人への感染など。

国立感染症研究所の見解と、日本の緊急事態宣言が5月25日に解除されたことを考え合わせると、3月中旬から5月下旬までが「一応の第2波」といえるかもしれません。
「一応」とつけたのは、緊急事態宣言後に第2波がぶり返す可能性を否定できないからです。

*8:https://www.asahi.com/articles/ASN5N2CCTN5MIIPE005.html
*9:https://toyokeizai.net/articles/-/351911
*10:https://www.niid.go.jp/niid/ja/basic-science/467-genome/9586-genome-2020-1.html
*11:https://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/newsflash/2020/04/20200430_01.html

第2波を見える化して、第3波を想定する

コロナ禍の波の様子は「見る」ことができます。
以下のグラフは、国立感染症研究所が作成した、1月14日から5月12日までの国内の「発症日別、新型コロナウイルス感染症届出数」です(*12)。

NIID 国立感染症研究所

画像:国立感染症研究所のデータをもとに作成

1月に起きた「さざ波」が、3月に「大波」になり、4月から5月にかけて「引き波」をつくっていることがわかります。
またこのグラフからは、3月の急上昇に比べて、4~5月の減り方がなだらかであることもわかります。急激に拡大するのに、ゆるやかにしか減らなければ犠牲者が増えてしまいます。

よくない波とよりましな波
© Howardsend

国立感染症研究所は、「第3波、第4波が来ることは必然」と考えています(*9)。
第3波の到来が避けられないのであれば、第1波と第2波を早期に分析して、感染拡大の増加を緩めて、感染の減少を早める方法を考えなければならないでしょう。

*12:https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov.html

第2波は、ウイルスが変異している点が恐い

第2波は、ウイルスが変異している点が「恐い」

第1波、第2波といった数え方は、感染拡大の波の回数であると同時に、ウイルスの違いでもあります。第2波の新型コロナウイルスは、第1波の新型コロナウイルスが変異したものです(*13、14)。
国立感染症研究所が、ウイルスのゲノム(全遺伝情報)を調べたところ、武漢のウイルスは、ダイヤモンド・プリンセス号のウイルスとほとんど同じでした。ウイルスの塩基という物質が1個しか違いませんでした。

そして、国内で3月中旬以降に見つかったウイルスは、欧米のウイルスと同じものであり、そして武漢のウイルスとはかなり違っていました。

このような調査から、新型コロナウイルスの塩基は、1年間で25.9カ所変異することがわかりました。単純計算で、14日に1カ所(=365日÷25.9カ所)変異することになります。

変異は、ウイルスにとって、増殖と同じくらい、重要な生き残る手段です。
例えば、人類が「ウイルスA」を死滅させる「攻撃a」を開発できたとします。しかしウイルスAが「ウイルスA′」に変異してしまうと、もう「攻撃a」で死滅させることはできません。
一度インフルエンザにかかったのに、すぐにまたインフルエンザにかかってしまうのは、後者が変異したインフルエンザだからです(*15)。

つまり、新型コロナウイルスが変異するたびに、人はそれに対応していかなければなりません。ウイルスの変異は、ウイルスの増殖と同じくらい、人にとって脅威です。

*13:https://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/newsflash/2020/04/20200430_01.html
*14:https://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/report/t344/202005/565524.html
*15:https://www.seirogan.co.jp/fun/infection-control/influenza/mutation.html

医療のこと

医療のこと

医療の「今」を見てみます。

医療崩壊は回避できそうか

医療崩壊は回避できそうか

コロナ禍では当初、急増する患者に病院が対応できず医療崩壊が起きる、と危惧されていましたが、その事態は回避できています。
NHKによると、感染患者を入院させることができる国内の病院のベッド数は、5月15日現在17,290床で、実際の入院患者数は約3,400人です(*16)。
また、人工呼吸器などを完備した重症患者用の集中治療室に限っても、ベッド数2,356床に対し、入院患者数は251人です。
厚生労働省は「患者数は減少傾向にあり、病床数には余裕がある」としています。

ただ世界を見渡すと、イギリスでは展覧会会場を仮設病院にして対応しました(*17)。ニューヨークでは、病院の外に仮設の遺体安置所がつくられました。
医療先進国ですらこのような状態なので、日本が「次」も医療崩壊なしに乗り越えられるかどうか、わかりません。

*16:https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/medical/
*17:https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-52087717

アビガンをめぐる見解、政府と日本医師会では真逆

アビガンをめぐる見解、政府と日本医師会では真逆

新型インフルエンザの薬である「アビガン」(一般名はファビピラビル)について、政府は、新型コロナウイルス感染症に対する効果が示唆されている、という見解を支持しています(*18)。それで政府は5月中に薬事承認を行い、コロナ禍の治療現場で使えるようにします。
これは異例のスピード対応といえ、本来行わなければならない「薬品メーカーによる企業治験」という工程を省略しています(*19)。

日本は、優れた薬が承認されるのが遅いと批判されることがあるので、政府のこの決定は、英断として歓迎できるような気がするかもしれません。
しかし話はそれほど単純ではありません。

国内最大の医師団体である日本医師会のCOVID-19有識者会議(座長:自治医科大学の永井良三学長)は5月19日に、「エビデンス(証拠、根拠)が十分でない候補薬を拙速に承認すべきでない」と緊急提言しました(*20)。
この提言はアビガンの承認を念頭に置いていて、政府の対応を批判しています。日本医師会は、アビガンが本当に新型コロナウイルスに効くのかどうかわからない、と考えています。
同有識者会議は、アビガンが効いているように見えるのは、感染拡大が抑えられて患者数が減っているからではないか、とも指摘しています(*20)。

政府は、医療のプロの意見を聞いて「アビガンOK」と判断しています。
日本医師会も、医療のプロの見地から「アビガンNG」と言っています。
これでは一般国民は判断できません。

*18:https://www.mhlw.go.jp/content/000625757.pdf
*19:https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=14609
*20:https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/20/05/20/06967/

ワクチン開発はどのようになっているのか

ワクチン開発はどのようになっているのか

コロナ禍医療では、ワクチン開発も急務となっています。
新型コロナウイルス用のワクチンができれば、それを投与すれば病気の発症を防ぐことができます。新型コロナウイルスへの恐さが、普通のインフルエンザウイルスへの恐さくらいに減るかもしれません。

NHKの5月23日の報道によると、世界の研究機関や製薬メーカーが、計約100種類のワクチン研究を進めています(*21)。
アメリカの製薬メーカー「モデルナ」と米国立衛生研究所(NIH)のチームは、7月には、新開発のワクチンを一般の人に投与する、臨床試験の最終段階に進む見通しです。
イギリスのオックスフォード大学も、ワクチンを1,000人に投与する臨床試験に着手しています。オックスフォード大学とチームを組む製薬メーカー「アストラゼネカ」は、9月に新開発ワクチンを供給できると発表しています。

日本でも、この夏には臨床試験が始まる見通しです。
ただし、北里大学の中山哲夫特任教授は、日本で一般の人がワクチンを接種できるようになるには、1年はかかると指摘しています(*21)。2021年5月まで接種できないかもしれません。
海外でワクチンができてもすぐに日本に輸入されないかもしれませんし、仮に輸入されても、そのワクチンが日本人の体質に合うのかどうかわかりません。そこで中山教授は、やはりワクチンは国産であることが望ましいと指摘しています。

*21:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200523/k10012442471000.html

コロナとの共存

「奇妙な成功」を収めた日本は第3波にも勝てるのか【コロナ禍の今】

例え世界中の知見を集めても、医療が新型コロナウイルスに勝てるとは限りません。がん、糖尿病、高血圧は元より、普通のインフルエンザや普通の風邪や普通の水虫ですら、現代医療は退治できません。
そこで人々は、自分たちの命を脅かす病気やウイルスと共存していかなければなりません。「今」も新型コロナウイルスとの共存が求められています。

なぜ元大物商社マンは「新型ウイルスと友達になろう」と提言するのか

出典:東洋経済Plus

丹羽宇一郎氏の「今」の肩書は伊藤忠商事名誉理事で、元は同社の商社マンでした。中国大使を務めたこともあります。つまり丹羽氏は、相当な人物ではあるものの、医療専門家ではありません。

その丹羽氏が、「新型コロナウイルスと友達になろう」と呼び掛けています(*22)。
とても奇異な提言に感じますし、丹羽氏自身、批判を覚悟しています。なぜこのようなことを言い始めたのでしょうか。
丹羽氏はあえて、文学的にコロナ禍を考えようとしています。それは、新型コロナウイルスの正体を突き止められない以上、医学的に考えても埒(らち)が明かないからからです。

新型コロナウイルスを友達と考えれば、選んで付き合うことができます。
新型コロナウイルスの8割は、気弱でおとなしいタイプなので、人類と付き合うことができます。しかし残りの2割は獰猛なので、遠ざける必要があります。

丹羽氏は、世界を見てきた経験から、国際問題では、相手国を一方的に悪と決めつけてしまうとその延長線上には戦争しかなくなる、考えます。戦争は双方が傷つくことになるので、共倒れ状態になります。
丹羽氏は、コロナ禍でも、ウイルスを悪と決めて撲滅しようとすれば、ウイルスは強毒化して人類に再び反撃してくると考えます。
したがって、新型コロナウイルスを地上から消し去ろうとするのではなく、新型コロナウイルスを遠ざけるほうがよい、というわけです。

のび太とドラえもんは、未来の便利道具をたくさん使えるのに、それでジャイアンを町から追い出そうとはしません。彼らは、ジャイアンが機嫌が悪いときはそっとしておいて、ジャイアンが優しくなったときに遊んでいます。

ウイルスとの共存とジャイアンの話し
© Howardsend

*22:https://toyokeizai.net/articles/-/346082

WHO「我々はかつてほど、エイズを怖がっていない」

WHO「我々はかつてほど、エイズを怖がっていない」

そうとはいえ、新型コロナウイルスと共存することは、嫌なことです。WHO(世界保健機関)の専門家は、人がウイルスを制御できるまで4、5年かかるとの見方を示しています(*23)。最長2025年までこのままであるなら、やはり共存ではなく、ウイルスの撲滅を望みたくなります。

そこでWHOの別の専門家は、このようなことを言っています(*23)。
「我々は今、エイズウイルスを、かつてほど怖がっていない」

エイズが世界を揺るがした1980年代は、医療研究者のなかにも、男性同性愛者の性行動がエイズ感染の原因であると唱える人がいたり、大手新聞社が「エイズの男性多発に新説、精液中の生理物質が関与」と報じたりしていました(*24)。
「今」では考えられないようなフェイクニュースが飛び交ったのは、人々がパニックに陥っていたからでしょう。

しかし「今」でも、エイズを引き起こすHIV(ヒト免疫不全ウイルス、通称、エイズウイルス)に対するワクチンは開発されていません。
2020年には、アメリカの国立衛生研究所(NIH)が、新開発したワクチンでは予防できないとわかり、臨床試験を断念しました(*25)。

それでもエイズをそれほど怖がらないのは、人々がエイズと共存しているからです。
病原体との共存は、人類の知恵といえます。HIVへの感染を防ぐ方法はある程度確立していて、それを実行するだけでよいのです(*26)。

人類の知恵とは、生活様式を変えることです。
新型コロナウイルスとの共存でも、新しい生活様式の導入が必要になるでしょう。

*23:https://www.asahi.com/articles/ASN5G3J9JN5GUHBI00F.html
*24:分裂する事実 : 1980年代日本のエイズ報道過程の分析(滝口倫子)
*25:https://www.bbc.com/japanese/51367275
*26:https://www.jfap.or.jp/aboutHiv/bk06.html

新しい生活様式のこと

新しい生活様式のこと

厚生労働省は5月4日に「新型コロナウイルスを想定した新しい生活様式」を公表しました(*27)。
政府が国民に、「このように生活してほしい」と呼びかけるのは異例です。政府は、一時的に生活態度を変えるだけでは済まない、と考えています。
その概要を紹介します。

*27:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_newlifestyle.html

生活まで変える必要がある理由

生活まで変える必要がある理由

厚生労働省は、感染が拡大する可能性があり、コロナ禍対策は長丁場になるとみています。同省は長丁場の期間を示していませんが、先ほど紹介したように、WHOは4、5年はかかるとみています。また、エイズワクチンがいまだに開発できていないことからすると、新型コロナウイルスワクチンも数十年にわたって完成しないかもしれません。
だから、生活を変えるしかないわけです。

新しい生活の中身

新しい生活の中身

厚生労働省が示す新しい生活は、4項目にわかれています。詳しくは以下のURLから確認できますので、ここでは概要だけを紹介します。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_newlifestyle.html

●基本的な感染対策
・他人との距離を2メートル空ける
・症状がなくてもマスクを着用する
・手洗いを徹底する
・屋内遊びより、屋外遊びを選ぶ
・感染が流行している地域からの移動を避ける
・感染が流行している地域への移動を避ける

●日常生活の基本
・こまめに換気する
・3密(密集、密接、密閉)を回避する
・発熱や風邪の症状が出たら、自宅療養する

●生活場面ごとの新様式
・通販を利用する
・店での買い物は1人で空いた時間に行う
・公園は空いた時間、空いた場所を選ぶ
・筋トレは自宅で行なう
・ジョギングは単独または少人数で行なう
・公共交通機関のなかでは、会話を控えめにする
・混んでいる時間の公共交通機関の利用を避ける
・外食は、持ち帰りやデリバリーを利用する
・食事は大皿を避けて個々にわける
・お酌やグラスの回し飲みを避ける

●働き方
・テレワークやローテーション勤務を進める
・時差通勤をする
・会議や名刺交換はオンラインで済ます
・対面での打ち合わせはマスクを着用する

これが、新しい生活の中身となります。

すでに始まっている新生活

すでに始まっている新生活

新しい生活様式はすでに始まっていて、例えば福島テレビは5月13日に次のような取り組みを紹介しました(*28)。

座席数35席の居酒屋は、5人以上の予約が入ったら、完全貸し切りにすることを決めました。感染者が出たら営業できなくなるので、店主は「売上減のほうがまし」と考えました。
公園の管理者は、朝夕に遊具を消毒し、日中は利用者に、密にならないように声かけをしています。
電車は、従来の2両編成を3両編成にしました。利用者が増えていないので、単純にコストアップになりますが、車両を増やせば3密を緩和できます。
このような取り組みは、全国の企業や事業者や生活者が始めています。

*28:https://www.fnn.jp/articles/-/41791

災いから生まれた成果~オゾンの活用が拡大

オゾンは新型コロナウイルスへの効果が認められた殺菌手法

人は、困難に出くわすと、それを乗り越えようという気持ちがわきます。災いは、人を強くします。
コロナ禍でも、新たな成果が生まれています。「オゾン」の活用方法の拡大も、その1つです。

世界初「オゾンが新型コロナウイルを殺菌する」ことを実証

世界初「オゾンが新型コロナウイルを殺菌する」ことを実証

オゾン(O3)は、酸素(O2)と同じく、酸素原子(O)でできている気体です。
従来から、オゾンには、インフルエンザウイルスやノロウイルス、食中毒を引き起こす細菌を殺菌する作用があることが知られていました。それでオゾン・ガスを発生させる機器が、病院や介護施設、食品工場、農業、漁業で使われてきました。
詳しくは「オゾンの特徴」をご覧下さい。

それで、コロナ禍の初期から、「オゾンで新型コロナウイルスを殺菌できるのではないか」という期待がありました。
そして奈良県立医科大学、クオール株式会社、三友商事株式会社、株式会社タムラテコの合同チームが5月14日、世界で初めて次の2点を確認しました(*29)。
※タムラテコは「ハンディくりん(TM-38SC)」や「ZERO(ゼロ) TOM-05」などを製造販売しているオゾン発生器メーカーです。

  • オゾンによる新型コロナウイルスの不活化
  • オゾンによる新型コロナウイルス不活化の条件

不活化とは、ウイルスなどの病原体を死滅させる、という意味です。オゾンで新型コロナウイルスを死滅させることができることがわかりました。

新型コロナウイルスを密閉容器に入れ、オゾン・ガスを注入しました。オゾンにさらされた新型コロナウイルを細胞に接触させたところ、感染力は最大1/10,000まで低下しました。

*29:http://www.naramed-u.ac.jp/university/kenkyu-sangakukan/oshirase/r2nendo/documents/houdousiryou.pdf

オゾンテントが医療現場を安全にする

オゾンはコロナ禍対策の重要な「武器」になります。

オゾン効果を確かめた株式会社タムラテコは、テントの世界トップメーカーで、東京ドームも手掛けた太陽工業株式会社と共同で「オゾン除菌テント」をつくっています(*30)。テントのなかにオゾンが充満するので、確実に殺菌できます。

オゾンテントが医療現場を安全にする

出典:タムラテコ(オゾン除菌テントシステム)カタログPDF

「今」オゾンの、新型コロナウイルへの効果が判明したので、「オゾン除菌テント」は新型コロナウイルス感染症患者を受け入れる病院で使うことができます。
これは患者の健康だけでなく、医療従事者の安全を確保します。

*30:http://www.teco.co.jp/wp/wp-content/uploads/2010/10/taiyo.pdf

まとめ~強くて賢いモノに勝つ方法

まとめ~強くて賢いモノに勝つ方法

ウイルス研究者のなかには、新型コロナウイルスに「感心」している人もいます。例えば、新型コロナウイルスに感染しても、8割の人は軽症で済んでいます(*31)。このウイルスは、人をあまり殺さない「戦略」を持っています。北里大学によると、致死率では、鳥インフルエンザ、エボラ、スペイン風邪、マーズ、サーズ、天然痘より低率です(*32)。

ウイルスは、自分では増えることも、移動することもできません。人に感染することで、増殖も移動も可能になります。つまり新型コロナウイルスも、人と共存したいわけです。
このウイルスは、強いだけでなく、相当賢いといえそうです。研究者が感心するわけです。

日本は「奇策」を採用したことで、とりあえず第1波を封じ込めることができ、第2波対策も順調なようです。しかし、「奇策」の中身がわかっていないので、なぜ日本が新型コロナウイルスに勝てたのかわかりません。
一方で、医療は正攻法といえますが「今」のところ、治療薬もワクチンも開発できていません。
そのため、第3波に勝てる保証は、「今」のところありません。

強くて賢いモノに勝つには、「奇策」でも「逃げ」でも、何でも使っていかなければなりません。生活を変えることは、コストも無理もそれほどかからないので、誰でも容易に取り組むことができますが、人は元来、面倒くさがり屋なので、生活を変えることほどやっかいな作業もありません。

しかし20年前は、ダイエットが、がん予防になるとは思ってもいなかったでしょう。「今」は、適度な運動をして、食生活を見直して、適正体重を維持することで、がんリスクを低くできることは常識になっています(*33)。
これも、生活様式を変えることに他なりません。
健康のために何かしている人であれば、コロナ禍対策での新生活様式の導入も、たやすいはずです。

【追記/2020.12.08】
第3波の今あえて「コロナは私たちに何をもたらしたのか」と考える

*31:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/newpage_00011.html
*32:https://www.kitasato-u.ac.jp/vmas/download/coronavirus_200220lecture.pdf
*33:https://ganjoho.jp/public/pre_scr/cause_prevention/evidence_based.html

Copyright © OZONE PLUS. All Rights Reserved.

上へ