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従業員が感染したら、会社は今の体制で耐えられますか【ウィズコロナの企業経営】

今、従業員の誰かが新型コロナウイルスに感染したら、経営者は何をしなければならないでしょうか。
感染者発生シミュレーションは、何回実施したでしょうか。対応マニュアルはできあがっているでしょうか。感染者発生対応チームは立ち上げたでしょうか。
企業は、従業員が感染したときに、1)従業員を守ることと、2)会社を守ることの2つの大事業を同時に行なわなければなりません。
社内でクラスターが発生したら、今の体制で持ち応えることができるでしょうか。

3つの打撃を受けるから労務対応と経営対応が必要

従業員が感染したら、会社は今の体制で耐えられますか【ウィズコロナの企業経営】

従業員が感染すると、企業は次の3つの打撃を受けることになります。

●企業の最重要リソースである人材の毀損
企業の人・モノ・カネ・情報のリソースのうち、最も重要なのは人です。その従業員が感染症で苦しむことになるので、企業は大きな損失を受けることになります。

●感染者やその同僚が仕事を継続できなくなる
感染した従業員や、その人と濃厚接触した従業員は休業しなければならないので、その人たちが担当していた仕事が滞り企業パフォーマンスは落ちます。

●対応に追われることのロスとコスト
従業員が感染したら「自己責任」では済まされず、企業は対応に追われることになります。その対応に当たる従業員は、自分の仕事を一時的に放置しなければなりませんし、措置に関する費用も発生します。そのロスとコストは決して小さくないでしょう。

企業がこの3つの打撃を完全に回避するのは難しいので、経営者は損失を最小限にしなければなりません。
損失を最小限に抑える方法こそ、従業員を守る労務対応と、会社を守る経営対応の2つになります。

労務対応では安全と健康の確保を目指す

企業と経営者には、従業員の安全と健康を守る安全配慮義務が課されています。安全配慮義務は労災から従業員を守る義務であり、業務に起因してコロナ感染したら労災に認定される可能性があります(*1)。出勤したり、営業に出たり、出張したりする行為は、感染リスクを高めるからです。
企業で感染者発生対応を担当する人は、労災の視点を持っておく必要があります。感染者は被害者であり、企業が守らなければならない対象である、という視点です。
また、正社員、パート、契約社員、派遣社員などの雇用形態に関係なく、全従業員が平等に「守られるべき」対象になります。

*1:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html#Q7-1

感染者発生対応チームを立ち上げる

労務対応は、社内に感染者発生対応チームを立ち上げて、任せたほうがよいでしょう。すでに感染予防対策チームがあれば、そのチームに兼務させることができます。
感染者発生対応チームを社長直属にすると機動性が高まります。チームリーダーは、実際に保健所と協議したり、清掃会社に事務所内の消毒を発注したりする人を選任することをおすすめします。
感染者発生対応チームのミッションは、1)感染した従業員と濃厚接触した従業員のケアと、2)感染を拡大させない、クラスター(集団感染)にしないことの2つになります。

感染者発生対応チームは、次の6点を注意してください。

  • 速やかに共有する:情報を速く伝えるために「誰が」「何を」伝えるのか決めておく
  • 正しい情報を伝える:わかっていることとわかっていないことの両方を伝える
  • 信頼を得る:科学的な根拠(エビデンス)がある情報のみが受け手の信頼を高める
  • 気持ちに寄り添う:受け手の視点に立って情報を出す
  • 行動を支える:1人ひとりの行動が対策につながることを強調する
  • 相手を尊重する:相手の立場や権利を気遣う伝え方をする

これは、アメリカのCDC(疾病予防管理センター)が提唱している、組織内で感染が拡大したときのコミュニケーション6カ条です(*2)。

*2:https://plaza.umin.ac.jp/jstah/pdf/corona01.pdf

経営対応は経営者自ら指揮を執り事業継続と雇用確保を目指す

感染者が発生したときの経営対応は、経営者自ら指揮を執ったほうがよいでしょう。もし営業所や店舗や本社を閉鎖する必要に迫られたら、その決断は早いほうがよく、社長なら即決できます。また、本社から地方の拠点に応援を出したり、近隣の営業所間での相互に支援させたりするのも、経営者が直接指示を出せば現場の士気は高まります。

経営対策では、事業継続に加えて、雇用を守ることも重要です。感染者が発生すると事業が停滞するので減収になり、そうなると人件費などの固定費が経営を圧迫します。しかし、従業員が感染したことで起きる「禍」は一時的な事態にすぎません。事態が収まれば確実に元の人員が必要になります。
雇用を維持することで、従業員の生活も経営も守ります。

航空需要が激減して大規模赤字に陥ったJALとANAが、人員整理ではなく、従業員をヤマト運輸や家電量販店のノジマに出向させたのも、従業員を手放したくなかったからです(*3、4)。航空需要が回復すれば、すぐに出向させた従業員を呼び戻して事業を再開することができます。

*3:https://www.yamato-hd.co.jp/news/2020/20200827.html
*4:https://www.aviationwire.jp/archives/214531

感染した従業員を守る

感染した従業員を守る

ここからは、従業員がコロナに感染したとき、企業の感染者発生対応チームが、具体的になにをすべきか、について考えていきます。
まずは感染した従業員を守らなければなりません。

疑わしきは休ませる

「風邪くらいで会社を休むなんて根性なしだ」と豪語していた人も、ウィズコロナ社会では、熱や咳が出たら、感染の有無がわかっていなくても会社を休んだほうがよいでしょう。企業は、風邪の症状が出た人を積極的に休ませるようにしてください。
厚生労働省は、発熱などの風邪の症状があるときは、会社を休むよう呼びかけています(*5)。

*5:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html#Q1

感染が確定したら自宅療養→宿泊施設療養→入院

企業の感染者発生対応チームは、風邪の症状が出た従業員を休ませたら、「息苦しさ、強いだるさ、高熱」が4日以上続くかどうか確認します。4日以上続いたら、その従業員に、最寄りの「帰国者・接触者相談センター」または医師会や診療所に相談するよう指示またはアドバイスしてください(*6)。

その後は、PCR検査や自宅療養、宿泊施設での療養、入院などの措置が取られます。コロナ感染が確定した場合の入院は、感染症法に基づくものになります(*7)。
PCR検査以降は、感染者発生対応チームが直接するべきことは多くありませんが、当該従業員とLINEやメールなどで密に連絡を取り、状況把握に努めてください。

*6:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00094.html#:~:text=%E6%AC%A1%E3%81%AE%E7%97%87%E7%8A%B6,%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E6%96%B9
*7:https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000675228.pdf

偏見や差別から守る

感染者発生対応チームは、社内で感染者が出たことを速やかに全社員に知らせなければなりません。そのとき、感染者の氏名は出さないようにしてください。
部署名や感染経路や感染日時は知らせなければなりませんが、感染者の個人情報は極力隠したほうがよいでしょう。

従業員たちは独自の情報網を使って、簡単に感染者の氏名を割り出すでしょう。しかし、企業が氏名を頑なに公表しなければ、感染した従業員は会社を信用できます。
コロナ感染は、偏見や差別を生みます。感染した従業員は被害者ですので「社内制裁」を受けるいわれはありません。

経済的支援で感染した従業員を守る

感染した従業員が、症状の次に心配するのが金銭面です。「休んでいる間、給料はどうなるのか」と不安に駆られるはずです。
企業の担当者は、療養中の従業員にLINEやメールなどで、今後の給料や休業手当について隠さず速やかに知らせてください。

休業手当(休業期間中の賃金)のルールには次の2つがあります(*8)。

1)個別事案ごとに諸事情を総合的に勘案して支給する
2)使用者の責に帰すべき事由による休業では、平均賃金の6割を支払わなければならない(労働基準法第26条)

ある従業員の感染が「使用者の責に帰すべき事由」なのかどうかは、その事例ごとに検討することになります。例えば厚生労働省は、リモートが可能な仕事をしている従業員に、無理に出社させて感染させてしまった場合は、使用者の責に帰すべき事由による感染として6割の休業手当が必要である、としています(*8)。
休業手当は、働いていない従業員にお金を支払うので、企業にはコストになってしまいますが、企業が休業手当を支給すれば、国が企業に支給する雇用調整助成金の対象になるかもしれません。雇用調整助成金を受給できれば、企業のコストは軽減されます(*9)。

また、都道府県知事が、感染者した従業員に就業制限(休業の指示)を行う場合があります。このケースは使用者の責に帰すべき事由による休業ではないので、企業は休業手当を支給する必要はありません。しかしこのケースでは、当該従業員が健康保険に加入していれば(被保険者ならば)、その従業員に傷病手当金が支給されます(*10、11)。これを活用すれば、企業の負担がなく、従業員を経済的に支援できます。

国の制度は複雑で、手続きも独特です。感染者にすぐに経済的な支援をするには、感染者発生対応チームと人事部や労務部が連携して対処する必要があります。
少なくとも、休業手当の支給条件と支給額は事前にルールを決めておき、全従業員に周知しておいたほうがよいかもしれません。

そして、業務に起因してコロナ感染をしたことが明らかであれば、労災認定されるかもしれません。労災認定は企業にとっては不名誉なことですが、感染した従業員には労災保険給付というお金が支給されるので、経済的な支援につながります(*12、13)。

すでに次のようなケースで、労災認定され労災保険給付が行われています(*14)。

  • 飲食店に、コロナ感染した客が来店し、店員が感染した
  • 建設作業員が、感染した同僚と一緒に作業車に乗って仕事をしたところ、感染した

*8:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html#Q4-1
*9:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html#Q3-1
*10:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html#Q4-1
*11:https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat310/sb3040/r139/
*12:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html#Q7-1
*13:https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/rousai/dl/040325-12-04.pdf
*14:https://www.mhlw.go.jp/content/000647877.pdf

感染した従業員の家族を守る

社内の感染者発生対応チームは、感染した従業員の家族のケアも、可能な範囲で行なったほうがよいでしょう。
例えば、厚生労働省は「新型コロナウイルスの感染が疑われる人がいる場合の家庭内での注意事項」を公開しています(*12)。これを下記のサイトから印刷して、感染した従業員の家族に渡すだけでも安心できます。

感染者発生対応チームは、業務を進めるほど「コロナ知識」が増えていきますので、それを全従業員やその家族に提供していってください。
例えば、オゾン発生器はコロナ禍で注目を集めている殺菌装置で、家庭用もあります。このような情報を提供すれば、従業員の家族に喜ばれるはずです。

*12:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/newpage_00009.html

感染者の2週間前からの行動を調査する

日本産業衛生学会や国立感染症研究所などは、社内で感染者が発生したら、その従業員の行動を調査するよう求めています(*13、14)。
その調査票(新型コロナウイルス感染症患者行動調査票)は以下のサイトから入手することができます。
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/2484-idsc/9357-2019-ncov-02.html

新型コロナウイルス感染症患者行動調査票(感染源)

感染した従業員から、発症日の14日前から現在までの毎日ついて、感染が疑われる行動をした日時、行った場所、行動内容、接触した人、状況、感染リスクを聞き取り、調査票に記載していきます。
この行動調査票によって、保健所が感染経路をつかむことができます。
また行動調査票を記入すれば、感染者が訪問した取引先や顧客に、企業からいち早く連絡することができます。

感染者発生対応チームは今から全従業員に、感染がわかったら2週間分の行動履歴を聞き取ることを知らせてください。外勤が多い従業員には、訪問先や使った交通機関やタクシー会社を毎日記録するよう指導したほうがよいでしょう。

*13:https://www.naganos.johas.go.jp/acms/wp-content/uploads/2020/05/%E8%81%B7%E5%9F%9F%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE%E6%96%B0%E5%9E%8B%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%8A%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%B9%E6%84%9F%E6%9F%93%E7%97%87%E5%AF%BE%E7%AD%96%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89%EF%BC%886%E6%9C%883%E6%97%A5%EF%BC%89.pdf
*14:https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/2484-idsc/9357-2019-ncov-02.html

感染した従業員の同僚を守る

社内で感染者が発生すると、その同僚は濃厚接触者になる可能性があります。社内の感染者発生対応チームは、感染者の職場の人たちも守っていかなければなりません。

濃厚接触者とは、感染者が発病した日の2日前以降、1メートル以内に15分以上いた人と定義されます(*15)。同じ職場で仕事をしていれば、ほぼ間違いなく濃厚接触者になります。

*15:https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/2484-idsc/9582-2019-ncov-02-qa.html

職場の同僚も2週間の自宅待機

感染者が出たら、企業はすぐに保健所に知らせなければなりません。そして保健所は、企業に対し、濃厚接触者にPCR検査を受けさせるよう指示します(*16)。
そして感染者の職場の同僚は、PCR検査で感染していないと判定されても(陰性でも)14日間は自宅待機となります。自宅待機中に風邪のような症状が出たら、医療機関にかかることになります。

*16:https://www.mhlw.go.jp/content/000635506.pdf

接触者リストを作成する

社内の感染者発生対応チームは、感染者の同僚などの濃厚接触者について「接触者リスト」を作成します。接触者リストの見本は以下のサイトから入手できます。

https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/2484-idsc/9357-2019-ncov-02.html

新型コロナウイルス感染症患者の接触者リスト

接触者リストは、濃厚接触者全員の氏名、感染者との関係、年齢、性別、感染者との最終接触日、基礎疾患の有無、観察期間内(2週間)の発症の有無、連絡先(電話、メールアドレス)を記載します。

保健所と閉鎖する範囲を協議する

企業から感染者の発生の報告を受けた保健所は、閉鎖する範囲を検討します(*13)。その検討には、感染者が在籍する部署のフロア見取り図が必要になるので、感染者発生対応チームは、事前にすべての職場の見取り図を用意しておく必要があります。

閉鎖した事務所を消毒する

感染者がいた事務所や店舗などの室内空間は消毒や殺菌をすることになりますが、その際、保健所から消毒をするタイミングや消毒範囲、消毒液についてアドバイスしてもらえます(*17、18)。
感染者がいた部屋は、パソコン、タブレット、電話、ファックス、コピー機、椅子、机、キャビネット、ドアノブ、照明スイッチ、床面、壁などを消毒します。
また、感染者が食堂やロッカールーム、トイレ、エレベーターなどを使っていたら、適宜、消毒を行います。

これらの作業は、従業員が行うのではなく、次の3つの理由からコロナ殺菌の実績がある専門業者に依頼するべきでしょう。
1)従業員の感染リスクを減らせる
2)従業員に負担をかけないで済む
3)より確実に殺菌できる

専門業者によるコロナ殺菌は、オゾンや過酸化水素といった、より効果的な気体や薬剤を使います(*19)。また専門業者は除染する箇所を心得ているので、高い効果が期待できます。清掃業者は、特殊な作業着、マスク、ゴーグル、2重手袋をして作業します。完全防備が必要なほど強い殺菌力を持つ手法で作業します。
専門業者に依頼すれば安心して仕事を再開できますし、取引先や顧客にも自信を持って安全宣言を出すことができます。

*17:https://www.city.sapporo.jp/hokenjo/f1kansen/020421n-cov_kigyohenosyuuti.html#link02
*18:https://www.tottoris.johas.go.jp/wp-content/uploads/04fe1fe52945c214a1b1d5c520ed85a5.pdf
*19:https://www.tokusyuseisoutai.jp/kodokushi/1859.html#i-5

休業させた従業員と毎日連絡を取る

感染者発生対応チームは、濃厚接触者として休業させた従業員とは、LINEやメールなどで毎日連絡を取り合ったほうがよいでしょう。本人が望めば、リモートで仕事をさせることもできます。
本人と連絡を取り合っていれば、容体が悪化したり、PCR検査の結果が出たり、診察を受けたり、入院することになったりしても、感染者発生対応チームが助けることができます。職場復帰させるタイミングも正確に測ることができます。
何より、従業員が「会社とつながっている」と意識できれば、安心して自宅待機や療養ができます。

感染した従業員による2次感染を防ぐ

感染した従業員による2次感染を防ぐ

感染した従業員が感染後に取引先や顧客を訪問していたら、早急に事実を知らせましょう。
それを聞いた取引先は、不快に思うかもしれません。しかし、感染者が発生した企業名は、マスコミや保健所が公表しなくても、SNSで簡単に広まります。そうなれば、取引先は、その企業に感染者が出たという噂は本当なのか問い合わせるはずです。そのタイミングで事実を伝えることになれば、なぜ感染がわかったときにすぐに知らせなかったのかと非難されるでしょう。

企業が感染者を出したことを積極的に取引先に報告すれば、感染者とかかわりのない取引先には「感染の心配はありません」と伝えることができます。また、感染者が訪問した取引先も、早めに知らせたことを感謝するかもしれません。

自社の従業員が2次感染を引き起こしたりクラスターの発生源になったりしないように、自宅待機中に外出しないように、注意してください。ただ、経営者や感染者発生対応チームが従業員を強制的に隔離することはできないので、もし外出して2次感染を引き起こしたら企業にも責任が生じることを、従業員に理解してもらう必要があります。日頃の会社と従業員の信頼関係が重要になる場面といえます。

会社を守る

会社を守る

社内の感染者発生対応チームが機能すれば、経営者は会社を守ることに専念できます。

公表に踏み切るかどうか

社内から感染者が出たら、企業が保健所に報告しなければなりませんが、公式サイトに掲載したり、マスコミに知らせたりしたほうがよいのでしょうか。
法律上は、企業がコロナ感染者の事実をマスコミに知らせる義務はありません。
しかし、感染した従業員が不特定多数と接する業務に就いていたら、公表したほうがよいといえます(*20)。

では、感染者発生の公表は、どの程度経営に影響するでしょうか。
オムロン株式会社は2020年11月5日までに、4月14日、4月29日、8月3日、8月6日、8月7日、8月18日、9月9日、9月14日、9月15日の計9回、地方の事業所やグループ会社で従業員が感染したことをホームページで公表しています(*21)。
最新の9月15日の発表では、オムロンのグループ会社で1名の感染者が出たことを公表しています。オムロンの株価は、9月11日は8,100円でした。12、13日は土日なので株価はつかず、その後は9月14日8,180円、15日8,120円、16日8,120円と推移しています。大きな動きとはいえず、感染者の公表の影響はほとんどありません。

社内から感染者が出れば、経営者も奔走することになります。公表するかどうかは、今のうちから決めておいたほうがよいでしょう。

*20:https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/skillup/00009/00090/
*21:https://www.omron.co.jp/covid-19/update.html

国や自治体の支援を使う

国や自治体は、コロナ禍による企業経営への打撃を軽減するために、次のような支援策を用意しています(*22)。

●傷病手当金:従業員が、業務災害以外の理由で病気を発症したりケガを負ったりして休業したときに所得補償を行う健康保険の制度です。コロナ感染も対象になります。

●労災補償:業務に起因してコロナ感染したときに支給される、労災保険の給付です。

●雇用調整助成金:コロナ禍で事業縮小を余儀なくされた企業が、従業員を休業させたり教育訓練を受けさせたり出向させたりして雇用を維持したときに給付される、雇用保険の制度です。

●小学校休業等対応助成金:コロナで小学校などが休業し、その小学校などに通う子供の保護者が仕事を休んだ場合、勤務先企業がその保護者(従業員)に特別に有給休暇を与えたら、助成金を支給します。これも雇用保険の制度です。

●持続化給付金:コロナ禍で営業自粛などを行ったことで、売上高が前年同月比50%以上減少した月があった場合に支給されます。中小企業庁の事業です。

実際にこうした給付金や助成金を申請するのは、総務部の担当者になるでしょう。しかし経営者が給付金や助成金を熟知しておくと、資金繰り計画がより精緻なものになります。

*22:https://plaza.umin.ac.jp/jstah/pdf/corona01.pdf

経営者やプロジェクト・リーダーが感染者になったときの対応

経営者が感染者や濃厚接触者になったら、自宅から役員や管理職たちに指示を出さなければなりません。経営者は今から、役員たちからの報告はインターネットやクラウド経由で受けるようにしておいたほうがよいでしょう。ZOOMなどのネット会議システムに慣れて必要もあります。経営者は取引先や顧客とも、いつでもインターネットでつながるようにしておきたいものです。

同じことは、重要プロジェクトのリーダーにもいえます。キーパーソンが感染しただけで、社運をかけた事業がストップするような事態は避けなければなりません。
経営者にもプロジェクト・リーダーにも、ピンチヒッターが必要です。ただNo.2やNo.3を育成することはコロナと関係なく、経営者や役員や管理職の日頃の業務の1つといえます。

事業の中断と再開のシミュレーションを行い、マニュアル化する

もし社内で大規模クラスターが発生したら、経営者やプロジェクト・リーダーだけでなく、No.2やNo.3も病に倒れてしまうかもしれません。そこまで被害が拡大してしまっては、事業の一時中断も選択肢にあがってきます。
取引先に迷惑をかけないように、事業の一時中断は遅滞なく知らせなければなりません。取引先は、代替製品や代替サービスを確保しなければならないからです。
そして、中断したら必ず再開しなければなりません。
事業再開のタイミングは、遅くなるわけにはいきませんが、だからといって早すぎるのも問題です。再発防止策が中途半端な状態で再開してしまうと、再び中断に追い込まれることになり、それは最悪の事態といえます。
事業の一時中断と再開は、シミュレーションを重ねたうえで、マニュアルも必要です。

まとめ~予防のほうが断然安い

まとめ~予防のほうが断然安い

画像:オフィスや学校等に導入事例が多いオースリークリア3

コロナ禍は、感染者を出していない企業も揺るがしています。そこに従業員の感染という事故が起きると、経営への影響は計り知れません。しかも、人の健康と命という、お金に換算できない重要なものも失いかねません。
感染者が出たときの損害と比べると、コロナ予防策を強化するコストのほうがはるかに安いといえます。
社内のいたる場所に消毒液を設置したり、事務所全体を殺菌できるオゾン発生器を導入したり、リモート業務を促進したり、時差出勤を奨励したり、従業員の行動を記録することは、ウィズコロナ社会では「当たり前のこと」にしていかなければならないでしょう。

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