オゾンプラス

日本最大級のオゾン専門ポータルサイト|オゾンプラス

コロナ倒産最多「飲食店」は「対策やっています」PRをすべき

帝国データバンクは2020年7月31日に、業種別の新型コロナウイルス関連倒産件数を公表しました(*1)。
倒産件数54件の飲食店が最多でした。

3密(密接、密集、密閉)をつくりやすい飲食店はクラスター(感染者集団)をつくりやすいため、政府も自治体も、感染者が増えると飲食店に営業自粛を要請します(*2、3)。
また消費者も自主的に飲食店に行かないようにしています。

飲食店が今の苦境を回避することは、このままでは困難です。
ただ、ダメージを少なくすることはできます。
それは、「コロナ対策やっています」PRです。

多くの客は、外食したくて「うずうず」しています。そして、自粛が要請されても一部の時間帯は営業ができます。
「当店はコロナ対策をしっかりやっています」と告知すれば、顧客から安心できる店と認知されます。
もちろん、PRする以上、実際にコロナ対策を実行する必要がありますので、飲食店が取り得る具体策も紹介します。

*1:https://www.tdb.co.jp/tosan/covid19/index.html

なぜ「まだ悪化する」といえるのか

コロナ倒産最多「飲食店」は「対策やっています」PRをすべき

飲食店のコロナ対策を紹介する前に、この業界の「惨状」を確認しておきます。
そして飲食店を取り巻く環境は、まだまだ悪化する可能性があります。

全コロナ倒産の1割強が飲食店

帝国データバンクによると、コロナ倒産が最初に発生したのは、2020年2月25日でした。この日から7月31日までに、全業種の法人と個人事業主のコロナ倒産は393件に達しました。
倒産の種類の内訳は、破産293件、民事再生法の適用30件、事業停止70件でした(計393件)。
そして業種別の内訳は、飲食店54件、ホテル・旅館46件、アパレル・雑貨小売店25件、食品卸24件、食品製造19件、その他225件でした(計393件)。
ワースト1位の飲食店の倒産(54件)は全体(393件)の13.7%を占めています。

閉店:コロワイド196店、ロイヤルホスト70店、ワタミ65店…

倒産を避けるには、早めに身軽になるしかありません。チェーン飲食店大手は、次々と閉店計画を発表していて、主なものは次のとおりです(*2、3)。

  • 株式会社コロワイド:焼肉・牛角や居酒屋・甘太郎など直営店196店
  • ロイヤルホールディングス株式会社:ファミレスのロイヤルホストなど70店
  • ワタミ株式会社:居酒屋・和民など65店
  • 株式会社大戸屋ホールディングス:定食屋の大戸屋を12店

生き残るためにやむを得ない決断とはいえ、これらの1店1店に店長や社員やパートがいます。会社は生き残っても、それらの一部または多くは、職を失うことになります。

*2:https://www.ryutsuu.biz/strategy/m052617.html
*3:https://www.asahi.com/articles/ASN5W5TPLN5WULFA00R.html

接待を伴う飲食店が原因になっているのは事実

飲食店にコロナ倒産が多いのは、政府や自治体が「飲食店に行かないように」と呼びかけ、消費者がそれに応じているからです。
客が来なければ倒産や経営の悪化は避けられません。

接客を伴う飲食店でクラスター(感染者集団)が発生しやすいことは、事実と認定されています。国立感染症研究所は、「市民がこうした場所(至近距離での会話機会が多い接客を伴う飲食店など)を徹底的に避けることでクラスターの発生を予防できる」と注意喚起しています(*4)。
それで政府や東京都のコロナ対策は、飲食店対策が中心になっています。

*4:https://www.niid.go.jp/niid/ja/typhi-m/iasr-reference/2523-related-articles/related-articles-485/9756-485r03.html

飲食店対策はさらに強化される

飲食店の経営者たちは今でもすでに厳しい状況のなかにいると思います。しかし飲食店対策は、今後ますます強化されます。

東京都は都内全域の酒を提供する飲食店とカラオケ店に対し、8月3~31日までの約1カ月間、営業時間を午前5時~午後10時とするよう要請しました(*5)。
都が酒を出す飲食店とカラオケ店に規制の的を絞った背景には、7月30日の都内の新規感染者が過去最多の367人になったことや、全世代で会食を通じた感染が多かいことがあります。

飲食店ショックは、都内にとどまらないでしょう。
政府は、都道府県が、地域の感染状況に応じた対策を講じることができるようにします(*6)。これにより都道府県はコロナ対策を強化しやすくなるわけですが、これは7月以降、東京都以外の地域でも感染者が急増していることを受けての措置です。

具体的には、まず政府が「指標」をつくります。都道府県内の感染状況がこの指標の数値を超えたら、都道府県は飲食店に対し、営業時間を午後10時までに短縮するよう要請できるようになります。

東京都はこれに先んじて、都内の酒を提供する飲食店などに午後10時で営業を終えるよう要請したわけですが、政府はさらに強い権限を都道府県に与えようとしています。
感染防止ガイドラインを守っていない店があれば、都道府県知事は、営業自体を取りやめるよう求めることができるようになります。

「飲食店包囲網」はまだあります。
政府は7月28日、飲食店でクラスターが発生し感染経路の追跡が困難な場合に、その飲食店の同意を得ずに店名を公表することを決めました(*7)。そして、その飲食店が感染防止対策を取っていなかったら、そのことも公表します。
店名が公表されたら、その飲食店の信用はガタ落ちになります。店名の公表は感染拡大リスクを減らすために行うわけですが、それでも社会的制裁の要素を否定できません。

*5:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62102440Q0A730C2MM8000/
*6:https://www.jiji.com/jc/article?k=2020072800834&g=pol
*7:https://www.asahi.com/articles/ASN7X6VTWN7XULFA03K.html

悲鳴と反発

このような「コロナ対策=飲食店対策」や「飲食店包囲網」に対して、当の飲食店側は悲鳴を上げています。
東京都は8月3~31日の間の「午後10時までの営業」要請と同時に、これに応じた中小の飲食店に20万円の協力金を支給すると発表しました。
しかし都内の居酒屋からは「協力するのは難しい」という声が漏れています(*8)。それは20万円では売り上げ減を補えないからです。

3~31日は29日間になります。週1日休んでいる店はこの間、24.9日(≒(29÷7)×6)営業することになります。20万円の協力金は、1日8,032円(=20万円÷24.9日間)の補償になります。
つまり、午後10時から閉店までの売上高が1日8,032円以下の飲食店であれば、都に協力して20万円を得たほうが「得」という計算が成り立つかもしれません。
しかし夜の店のなかには、午後10時以降の売上がメーンになっているところや、多額の家賃を支払っているところもあり、そういった店にとっては20万円は「焼け石に水」です。飲食店の経営者や従業員の立場になって考えると、飲食店包囲網に反発したくなるのは当然です。
しかし都の要請にも関わらず午後10時以降も続ければ、世間の冷たい視線を受けることになりかねません。

*8:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62104820Q0A730C2CC1000/

「やっていること」を「やっています」とPRしよう

「やっていること」を「やっています」とPRしよう

外食業界は、景気に敏感な業界であり、はやりすたりが激しく、競合相手が多い厳しい業界です。今日まで生き残ってきた飲食店経営者は、幾度なくピンチに見舞われ、その都度必死に乗り越えてきたはずです。
したがって、今回も乗り越えることができるはずです。

そしてコロナ禍は、必ず終わります。
仮に新型コロナウイルスが、インフルエンザウイルスやノロウイルスのように完全に退治できないウイルスであっても、人類が「折り合いをつける」ことができる日は必ずやってきます。

そのため、飲食店の経営者が今やらなければならないことは、コロナと共存する新しいノーマル状態になるまで持ちこたえることです。
持ちこたえる策の1つとして、コロナ対策をしっかり行い「うちの店は、コロナ対策をやっている店です」とPRすることを提案します。

コロナ対策をしていることをお客さんは知っていますか

外食需要は減ることはあってもゼロになることはありません。競争はこれまで以上に激しくなりますが、客がいなくなることはありません。
だから選ばれる店になりましょう。

同じ味の同じ料理を同じ価格で出す2店あり、片方がコロナ対策をしていて、他方がコロナ対策をしていなかった場合、withコロナの時代の客は、前者を選びます。
しかし、コロナ対策をしていることが客に知られていなければ、選ばれることはありません。
では、どのように、コロナ対策をしていることを客に知らせたらよいのでしょうか。

根拠を示して目立たせる

自分の店で実施しているコロナ対策を知らせる方法として、このポスターほど優れたものはなかなかみつからないでしょう。

根拠を示して目立たせる

出典:https://yakiniku-like.com/2020/07/17/torikumi/

出典:https://yakiniku-like.com/2020/07/17/torikumi/

このポスターは東京都の焼肉チェーン・株式会社焼肉ライクが店内に表示しているものです(*9)。
実際はテーブルの小型モニターに映し出しています。

焼き肉ライクの店内

焼き肉ライクの店内(https://yakiniku-like.com/2020/07/17/torikumi/)

焼き肉ライクの店内(https://yakiniku-like.com/2020/07/17/torikumi/)

厚生労働省は商業施設に対し、コロナ対策として、室内の換気をするよう指導しています(*10)。
焼肉ライクは、自社の「無煙ロースター」が室内の換気に役立っていることに気がつきました。無煙ロースターは、肉の脂が加熱部品に付着しないようにして煙を少なくするシステムで、焼肉ライクのものはそれに換気機能が内蔵されていて、さらに煙の量を減らします。
そして、空気の入れ替え量を調査したところ、一般の飲食店の換気回数の9倍も換気していることがわかりました。
そこで「約2分30秒で、客席全体の空気が入れ替わっている」と、客にPRすることにしました。

客はこのポスターに「説得力がある」と感じるでしょう。説得力は安心につながり、客に「焼肉を食べるなら、安心できる店に行こう」と思わせる力になります。
根拠を示しなが目立たせることこそ、「やっていることを知らせる」戦略のコツです。

真似させてもらいましょう

この換気PR作戦は、無煙ロースターを使っている焼肉店であれば、すぐに真似できるはずです。もちろん「9倍」や「2分30秒」といった数字を示すには、データを取る必要があり、それは手間がかかります。
しかし、例えば「当店には15台の換気扇(無煙ロースター内臓のものを含む)があり、通常の飲食店より、しっかり換気できています」とPRすることはできます。
この文章を大きな文字で紙に書き、店内と店の外に張り出せば十分「やっていることを知らせる」ことができます。
店でフェイスブックやツイッターをやっているなら、そのポスターをアップしてもよいでしょう。

*9:https://yakiniku-like.com/company.html
*10:https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000618969.pdf

飲食店はどうしたらよいか「わざとらしいくらいで丁度よい」

焼肉店以外の飲食店では、店内にそれほど多くの換気扇を置いていることはないでしょう。
一般の飲食店なら、例えば30分に一度、店内の窓を全開にしましょう。これは厚生労働省が推奨している回数です(*10)。

そして換気するときは、店員が客に向かって「これから少しの間、コロナ対策として窓を全開にします。ご迷惑をおかけしますが、ご協力お願いいたします」とアナウンスしてはいかがでしょうか。
窓を開けることをお詫びしながら、「換気を徹底している」ことをPRできます。そして店の外にも「30分に一度、店内の窓を全開にして換気に努めています」と掲示しておきます。
このような非常時なので「わざとらしい」くらいで丁度よいでしょう。

厚生労働省の指導は、すべてPRの題材になる

厚生労働省による飲食店への指導では、換気以外にも次のようなものがあります(*10)。

  • 人を密集させない環境づくり
  • 店内に入れる客数を少なくする
  • 入退場に時間差を設ける
  • 動線を工夫して人と人との交差を回避する
  • 近距離での会話を避ける
  • 客に大きな声を出さないように要請する
  • 店員が大きな声を出さないようにする
  • テーブルや椅子やスイッチなどの殺菌の徹底

また経済産業省は小売店に次のようなコロナ対策を提案しています(*11)。これは飲食店にも参考になるのではないでしょうか。

  • オフピークでの来店(客に混雑時の来店を回避してもらう)
  • レジ前に透明のビニールをぶら下げて飛沫の飛散を防ぐ
  • コイントレーを使って現金やクレジットカードなどを受け渡しする
  • 大皿から取り分ける方式をやめて、小皿に盛る

このような取り組みを実行したら、例えば「厚生労働省並びに経済産業省の指導にしたがい、コロナ対策として○○をしています」と書いた紙を店内に掲示してはいかがでしょうか。
このように書くことで、政府のコロナ対策に賛同していることと、コンプライアンスを重視していることを客に知らせることができます。

*11:https://distribute-dei-taisaku.jp/

他店がやっていないことを導入して差別化を図る

他店がやっていないことを導入して差別化を図る

withコロナ社会では、飲食店の運営費にウイルス対策コストを計上することは避けて通れないでしょう。利益率が低い飲食店は、固定費が増えることはしたくないと思いますが、それでもやる価値は十分あります。
客はすでに、コロナ対策の充実度で飲食店を選別し始めています。
飲食店情報サイトの「食べログ」は、飲食店が取り組んでいるコロナ対策をサイトに掲載することにしました(*12)。これは食べログ・ユーザーの店の衛生対策情報への関心が高まっているからです。

飲食店大手はその傾向を把握していて、すでに「より進んだ」コロナ対策に取り掛かっています。
他店がやっていないコロナ対策は、他店との差別化になります。

*12:https://www.ryutsuu.biz/promotion/m071416.html

ワタミはオゾン殺菌をPRしている

ワタミは、居酒屋など65店を閉店する「守りの経営」を展開する一方で、他店がやらないようなコロナ対策を実行する「攻めの経営」にも取り組んでいます。
それは次の2つです(*13)。

  • オゾンを使った店内殺菌
  • 殺菌後の店内のPCR検査

「オゾン」は、酸素と構造が似たガス(気体)で、強力な殺菌作用があります。オゾンは以前からインフルエンザウイルスやノロウイルスを殺菌する効果が知られていて、病院や介護施設で手術室や居室などで使われていました。

そして奈良県立医科大学などが2020年5月に、オゾンが新型コロナウイルスに対して殺菌効果があることを証明したことで、さらに普及が進みました(*14)。
ワタミは、同大学の検証結果を受けてオゾンを利用することにした、としています。

コロナ禍において、衛生意識が一段と高まるなか、飲食店へのオゾン発生器導入が進んでいるとはいえ、オゾン発生器を導入したという話は、まだまだ少ない印象です。ワタミは7月からオゾン殺菌を導入しましたが、これは外食業界では早いほうといえるでしょう。

そして、店内のPCR検査もあまり聞かないと思います。
PCR検査といえば、人の鼻に長い綿棒を差し込んで検体を採取する方法を思い浮かべるはずです。
しかしワタミは、オゾンなどで店内を殺菌したあとに、客が触れるテーブルや椅子、スイッチなどから検体を採取してPCR検査を行いました。
店内殺菌のあとにPCR検査を行うことで、殺菌作業がしっかり行われたことをPRできます。

ワタミはこうした取り組みを「プレスリリース」にして、マスコミ各社に知らせています。
例えば日刊工業新聞は2020年7月1日に、この件を自社サイトで取り上げています(*13)。
オゾンの殺菌効果をすでに知っている人がこの記事を読んだら「どうせなら和民に行こうか」と思うでしょう。

外食産業初!コロナ時代の店舗消毒システムを導入、新型コロナウイルス99%不活化が確認されたオゾンで店内消毒を首都圏全店舗で実施へ
引用元:日刊工業新聞

オゾン殺菌消毒を取り入れたワタミ

外食産業初!コロナ時代の店舗消毒システムを導入、新型コロナウイルス99%不活化が確認されたオゾンで店内消毒を首都圏全店舗で実施へ
引用元:日刊工業新聞

飲食店への導入が急増しているオゾンクラスター1400

*13:https://www.nikkan.co.jp/releases/view/110753
*14:http://www.naramed-u.ac.jp/university/kenkyu-sangakukan/oshirase/r2nendo/documents/houdousiryou.pdf

まとめ~「やっているアピール」に遠慮は要りません

まとめ~「やっているアピール」に遠慮は要りません

店員がマスクをしたり、レジ前に飛沫対策のビニールシートをぶら下げたり、椅子を間引いたりする取り組みは、飲食店にとって当たり前の光景になりつつあります。
そのため、オーナーや店主は「当たり前のことを、ことさら強調するのはどうも」と思うかもしれません。
しかし、まったく遠慮は要りません。
なぜなら客たちは、厳しくコロナ対策をチェックしているからです。そして、どのようなコロナ対策が取られているのか知りたいと思っています。
「やっていること」を「やっています」とPRすることは、客に有用な情報を提供することになります。

Copyright © OZONE PLUS. All Rights Reserved.

上へ