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オゾン設備導入の野菜プラントで作られた低カリウムレタスを食べてみた

今回は、オゾン設備が導入されている富士通さんの野菜工場で作られた「低カリウムレタス」を実際に取り寄せ、実食してみたので、実食レポートそれにまつわるお話を書きたいと思います。

記事内には、非常に高いレベルで衛生管理をされている「会津若松 Akisai やさい工場」のクリーンルーム内の動画もあります。

工場で作られた低カリウムレタスが気になっていた個人様や、オゾン関連の設備導入をご検討の企業担当者様、あるいは大手企業の災害担当者様の参考になれば幸いです。

腎臓を患うと生野菜をあまり食べられない

腎臓を患うと生野菜をあまり食べられない

1,300万人。
これは、日本国内で腎臓を患っている人の数です(※)
日本腎臓学会編CKD診療ガイド2012

腎臓を患うと、生野菜があまり食べられなくなります。

その理由は、「生野菜にはカリウムが多く含まれている」からです。腎臓を患うとカリウムの排泄が滞って、体内に蓄積され、血液中のカリウム濃度が上昇して不整脈に陥ることがあります。

だからといって、生野菜をまったく食べられなくなるわけでもありません。生の状態ではなく、茹でることによってカリウムが水に溶け、少なくなるため、そのような工夫をすれば食べることができました。(カリウムは水に溶けやすい性質)
しかし、食事を作ったり提供する側からすれば、気を遣ったり、注意が必要だったため、それは面倒なことでもありました。

そんな中、あの富士通がカリウム含有量を80%も低下させた「低カリウムレタス」を製造・販売しているというではありませんか。
しかも、オゾン処理設備が導入されている半導体工場で栽培された低カリウムレタスと聞いたら調査しないわけにはいきません。

実食、オゾン処理水環境で育ったレタス

オゾン設備導入の野菜プラントで作られた低カリウムレタスを食べてみた

この写真にあるレタスは、福島県にある富士通の野菜工場で作られました。
オゾン処理設備が導入されている半導体工場で栽培された「低カリウムレタス」です。(オゾン水は言わずと知れた半導体工場御用達の機能水ですからね)

今回は、オゾンが使われている野菜工場の野菜を実食するというということで、低カリウムレタスを取り寄せてみました。
以前から噂を耳にしていた「低カリウムメロン」も一緒に手配しようとしたのですが、2019年9月現在、すでに栽培されていないとのことでした。(「柔らかくて美味しい」ともっぱらの触れ込みだったため、残念です)

栄養素と味の調整にはオゾンは関係しない

栄養素と味の調整にはオゾンは関係しない

ところでこれ美味しいの?といえば、ほどよくレタスの青い風味があり、何より甘味があります!

普通の水耕栽培のフリルレタスも柔らかく口当たりもいいのですが、レタスの香りが薄目です。この低カリウムレタスは、露地物(畑で栽培された野菜)の風味がありました。太陽光の代わりにLED使用なのですが結構やりますね、お日さまレタスに負けません。

お日さまレタスに負けないおいしさの低カリウムレタス

水の美味しさを決めているのは「ミネラル成分」主にカルシウム、マグネシウムです。それに加えて野菜の美味しさを決めているのが土壌成分の「窒素(硝酸化窒素)」なのです。

これが多すぎると「えぐみ」や「苦み」を強く感じるようになります。逆に言えばこれらをコントロールすれば甘味がより美味しく感じられるまろやかな野菜ができますからよくよく工夫されたんですね。以前も(別の企業様に)野菜プラントについて取材をお願いしたのですが「企業秘密です」と言われてしまったのはこういうことかもと思います。ちなみに今回の画像のレタスは1房200円です。

日持ち、美味しさで言えば抜群です!

日持ち、美味しさで言えば抜群です!

オゾンは野菜表面の噴霧にも使用されますが、すでに栽培培養液にオゾン処理水が添加されていたらプラント環境の野菜では特に滅菌するほどの菌類は付いていません(※)
富士通の野菜プラント内「クリーンルーム」ではホコリや雑菌を徹底的に排除しているため、そこで作った野菜は洗わずに食べられます。

極端な話、外気に触れない野菜は洗わなくても食べられます。
微生物がいないということはなかなか腐らないということですので、しぼみはしますが食せる期間はかなり長いものに仕上がります。
さらにエチレンガスを抑制すれば長期間の鮮度を保つことができますので災害地域への応援物資としてもかなり役立つであろうことは容易に想像できます。

一体どんな工場で、屋内がどのような作りになっているのか気になりますね。
「会津若松 Akisai やさい工場」のクリーンルーム内の動画がありましたので、興味ある方は是非ご覧下さい。

オゾン濃度や時間によっては植物の組成を壊すことも

オゾン濃度や時間によっては植物の組成を壊すことも

実は植物のクロロフィル(葉緑素)もオゾン濃度が濃すぎると緑を作り出す遺伝子が壊れ、日が当たっているのに緑が抜けてしまい斑点状に白く抜けてしまう、という弊害が起きるのです。

ちょっと見た目が「うどんこ病」に近い感じですが、実際みると違いが分かりやすいかもしれません。ちょうど葉っぱに塩素系漂白剤落としてしまったかのような抜け型ができる形状がオゾンによるものです。そこの部分だけ遺伝子情報を持っているアミノ基が壊れてしまっている証拠です(※)。遺伝子の組成も「たんぱく質」ですからね。

アミノ基のもとはたんぱく質です

植物のオゾン障害

これらは濃度が0.1ppmを越えてしまう高濃度のオゾンや、2-3ヶ月という収穫間際まで長期的に持続使用された場合に成長障害として起こるものです(※)
成長を司る遺伝子が破壊されているということです。

排水、廃水過程でのオゾン処理

排水、廃水過程でのオゾン処理

野菜工場では種子の発芽促進、培養液注入、廃水処理、出荷時オゾンガス噴霧など、さまざまな過程でオゾンが活用されています。

しかし、オゾン導入プラントでも全てにオゾンを使うことはまずありません。オゾンの作業濃度上限は0.1ppmですが低濃度の長期暴露も植物の発育不全をおこしますので実際は使われたとしても、用途に応じ必要な行程のみオゾン水濃度を調整する等して使用されます。排水時の廃水に至っては清浄野菜と呼ばれる無菌水耕状態に近い栽培床ではその時点できれいですから格別必要はないのです。

外装箱にも実はオゾン処理が施してあるのが驚き

外装箱にも実はオゾン処理が施してあるのが驚き

実は材木から紙やトイレットペーパーを製品化するときに漂白剤としてオゾンが使われていたりします。
塩素系や苛性ソーダを使わないと、さすがに木材の繊維がほどけて真っ白な製紙にはならないようですが、こんな方法で日本初のオゾン漂白方法も製紙会社より2000年にリリースされました。

「日本製紙クラフトパルプで日本初のオゾン漂白パルプ製紙工場が決定」日本製紙HPリリース情報より
https://www.nipponpapergroup.com/news/news00020401.html

機械パルプと化学パルプという手法

機械パルプと化学パルプという手法

機械パルプは直接木を破砕して細かくし紙漉きする手法(茶色のままで繊維が多く含まれるセメント袋など)木を砕いて煮溶かす方法にもいくつかの手法がありますが今回は割愛。対して化学パルプは薬品を使ってどろどろにするというのが最大の違いで、材木をチップ状にしてからアルカリ系統の薬剤(苛性ソーダなど)で煮てから塩素系薬品で漂白する手法です。

クラフトパルプ製法は化学パルプに属し、原料材木を苛性ソーダや酵素を使い煮てから、塩素、次亜塩素を使い漂白するやり方です。そこを塩素系漂白剤を使用せず「オゾン」で漂白するというのです。色を決めているリグニン含有量が多い材木は漂白しないと茶色い紙のままですが、リグニンの含有量低めの草木は充分オゾンで漂白できるということだそうです。有害ダイオキシンやCO2を大幅に削減できるのも環境アセスメント的にも秀逸です。

まとめ〜今回の苦労

今回の取材は大変苦労しました。というのも大手の野菜工場では「卸してある大型スーパーでお求めいただけます」という感じで、現物がなかなか入手できないということがありました。

オゾン設備を導入されている企業様のお問い合わせフォームでも返信が来ないこともままあります。今回の調達は近所の野菜卸し販売業者さんに手配をお願いしてみたらあっさり調達、という神業を見ました。一人で近所の大型リネン工場にも出向いてみたのですが「何か営業ですか?よくどうですか(オゾンや電解質イオンなどの設備導入)って言われるんですよね」と言われてしまったりしてなかなか大変でした。工場などへのオゾン設備は近隣を訪ねる限り普及はあまりしていないようです。聞けば塩素や酵素など薬品処理が主流のようです。なので電解水やUVも珍しい部類かもしれません。

本記事で取り上げた富士通の「会津若松 Akisai やさい工場」で作られる低カリウムレタスは、カリウムが低い(一般的なレタスの1/5程度)だけではなく、洗わずに食べられるという点で、災害時にも役立ちます。

面白いオゾンの使い方はないか?もう少し訪ね歩いてみようかと思っています、ではまた。

Special Thanks
調達協力:株式会社グッドラウンド

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